大型台風ひきこもり記

10月12日(土)

大粒の雨が屋根に打ち付ける、ばらばらという音で目覚めた。風が強まる前にもう一度コンビニに行くことに。濡れてもいいTシャツにビーサンを引っかけて家を出た。

昨日の夜はコンビニの棚になにもなかったのに、朝方に通常通り納品されたのかパンや水もたくさんあった。2リットルの水とレンチンで食べられるレトルトのしょうが焼き、それから缶詰やハムやチーズなど加工しなくていい食料を買って帰った。

これで家に籠もる準備は整った。

帰ってから、積ん読していたはらだ有彩『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』を読む。仕事関連以外の本を読むのは一ヶ月以上ぶりだった。冒頭の「はじめ 降ろされた幕をこじ開けて、物語の続きを」からしてわくわくが止まらない。

もしかしたら、怒りを表現する方法は一つだけではないのかもしれない。泣いたり、暴れたり、叫んだりしていないからといって、怒っていないとは限らないのかもしれない。
たとえばー
楽しく暮らすこと。サボること。
全然話を聞かないこと。真実を教えないこと。
ずっと忘れないこと。二秒で忘れること。
ここに立っていること。消えてやらないこと。
生きていること。
生きていたこと。
静かだけど、これらも確かな抵抗の表明なのかもしれない。

そっか、そうだよね、とうなずきながら読んだ。
日々、怒らなければならないことがたくさんあって、ただ全部に対して声を上げたり行動をとることはできなくて、でも黙っているからってそれらを受け入れているわけではけっしてない。自分の人生をめいっぱ楽しむのも抵抗、この作品が試みているように女の子同士で語り合って物語を紡いでいくのも抵抗って思えたら、怒りを言葉や態度で表明しない自分に変に罪悪感覚えることがなくなって、少し生きるのが楽になる気がした。
久々の読書はとてもいい読書だった。鬼を信仰するおばあさんの話、特に大好き。

それから、風呂掃除して浴槽に水を張ったり、大きなものを洗濯したり、停電になってもつまずいて転んだりしないように床に落ちているものを片づけたり、非常食用に玄米を炊いたりした。

普段は忙しさにかまけてまともに家のことなんてしていないのに、台風で生活が脅かされたとたんに家事を張り切り出す自分が不思議なかんじがする。

万が一避難することになってもいいように、非常用持ち出し袋と別に貴重品もまとめる。月末海外出張があるのでパスポートも入れる。

めずらしくテレビをつけて、午後中NHKの台風情報を見ていたら、あちこちの河川が反乱していて不安が募った。実家のある区では何件かの家が腰あたりまで浸水しているらしく、慌てて父に連絡(母は九州旅行中)。大雨警報が出ている地域に住む祖父母にも連絡する。インフラ関係に勤めている弟は金曜から被災地支援で泊まり込みだそうだ。姪がずっと発熱しているそうでそれも心配。

いざ台風が上陸してもうちの周りは雨も風もそれほどひどくはならなかった。昨日買った赤ワインを飲んで寝た。                    

#日記 #エッセイ #台風 #読書 #日本のヤバい女の子

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