見出し画像

最近読んだ本紹介【日記:2023/08/28】

①ブックオフから考える「なんとなく」から生まれた文化のインフラ

 ブックオフの歴史から、社会的な意義、ブックオフを使った遊びやブックオフに影響されて育った文化人の紹介など、まさしくブックオフをしゃぶりつくした一冊という感じ。
 最近、ブックオフで本を買った報告をするなみたいな否定論がまた再燃していますが、個人的には好きですねブックオフ。
分かりやすい陳列もないし、お世辞にも本を探しやすい場所ではないんですけど、それ故に闇鍋的な楽しみがある。また、インターネットと違って、膨大すぎず、安いとはいえお金がかかるのもいい。その場のノリで適当に買って、せっかくだからと読むことができる。意外と、そういうところから思ってもみない知見が広がったりするんですよね。
 ブックオフで本を買ったと言って炎上してしまう人こそ、もっとブックオフで本を読むべきだと思う。別にブックオフで買うことは全く問題ないだろうけど、要らん一言がなぜ批判を招くのかという理由ぐらいは理解しておいた方がいいだろうから。

②協力と罰の生物学

 自然界で見られる、種々の生物間の協力関係とそれを破った時に生じる罰の仕組みについて論述した本。生物学というと、専門的で敬遠する人も多いだろうけど、実例が多く平坦な言葉が使われていて分かりやすかった。クマノミとイソギンチャクとか、働きアリと女王アリの関係だったりとか。
 また、本書では一歩踏み込んで人間界における協力と罰のシステム、社会学的な内容も考察してるのですが、それも興味深かった。社会において何故裏切りが忌避されるのか、何故人は罰したがりなのか。現代の大炎上社会がある意味人間の、生物の本質だということが分かる気がします。
 その他、有名な経済ゲームの解説も乗っていたりして、ギャンブル漫画への理解度が上がる気がするのもいいところかな?
 私のように、転売ってなんでこんなに嫌われるんだろうな、と思ってしまうような人はぜひ読んでみて下さい。

③サエズリ図書館のワルツさん

 図書館を舞台にした人情系短編ものと、比較的よく見る作品の形態ではあるのですが、世界観や本という物に対する捉え方が独特で面白かったです。
 まず、舞台がありがちな現代ものではなく、電子書籍の蔓延と社会情勢の悪化により紙の本が駆逐されかかっている近未来日本というのが良い。そして、そんな世界観を反映した作品の温度感も素晴らしい。いい意味で冷たく、いい意味で他人事、まさしく私の思う”本”の概念と合致する。
 ほとんどの場合、本を読んだくらいで人の人生は変わらない。本とは麻酔薬であるからだ。でも、生きるとは夢と希望を抱きながら、現実と折り合いをつけていく作業であるから。だから本は欠かせない存在なんだと思う。こんな風に、この作品を読むと”本とは何ぞや?”なんて言う、恥ずかしい問いに自分も向かいたくなってしまう。
 また、余談ですが作者は『ミミズクと夜の王』などで有名な紅玉いづきさん。氏らしい作風は健在で、どことなく童話的。人間や社会の嫌な部分も、優しい語り口があるから読みやすい。

④夜話 “FORGOTTEN FABLES”

 私がよく買っている『乙女の本棚』シリーズの姉妹作……かと思いきや、別にそういうわけではないようです。内容的には近く、世界中の民話や童話に対し、しきみさんの美しい挿絵が入って来るという感じ。
 半ば画集に近いような一冊ですが、この幻想的な世界観とイラストを手元に置けるならば、お金を払う価値は間違いなくある。

 左に日本語、右に英語で書かれている構成もグッド。語り口もなんだか秘封倶楽部を思い出してカッコいいぜ……

⑤私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い

 最近読んだ漫画の中では、No.1に好きですね。作風としては、現在進行形で一世を風靡している『ぼっち・ざ・ろっく!』に近いような方向性ですが、こちらの方がアクが強くそれでいてポエミーな印象です。まんがタイムきららにはない性格の悪さとえげつない下ネタ、妙に心に残る主人公”もこっち”の独白が魅力かな?

こういう感性の鋭さはいいなと思う

 加えて言えば、ちゃんとボッチ期間が長いというのも、ボッチものとしては良いところとして上げられるのかもしれない。単行本で言えば、まる10巻前後まで、学内の友達はほぼ0だからな……まあ、最近は友達がたくさん増えて、鈍感系百合主人公と化してきてるけど。
 というかどうでもいいけど、最近の私、初期もこっちとトントン程度しか友達がいないな。もしかして、傍から見るとこれぐらい悲惨だったりするのか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?