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今の世の中にこそ植木耕助が必要【日記:2023/3/30】

皆さんは『うえきの法則』という作品をご存じでしょうか?
『週刊少年サンデー』に2001年から2004年まで連載された漫画作品で、2005年にはアニメ化もされた人気作です。
ジャンルとしては超能力バトルもので、100人の中学生が与えられた力を使って最後の一人を目指して戦うという筋書き。
途中から与えられた力以外を使ったり、チーム戦になったり色々ありますが大枠はそんな感じです。

作風は少年漫画らしくとにかく熱いのですが、それがいい。
主人公の少年『植木耕助』は曲がったことが嫌いで、敵だろうとどんな相手だろうとも助けようとする正義漢。
けれども決して甘い人間ではなく、避けようのない戦いには立ち向かうし、自分で立とうとしている人間はそっと見守る。
出来ないことは努力で埋め合わせて、泣き言は言わない。
強い信念を持ちつつも、それを他人に押し付けることはなく、ただ行動をもって自分の思いを語る、そんな男です。

本作では、才能が重要視されていて、能力+才能で戦うという建てつけになっています。
一人能力者を倒せば、才能が一つ増え、能力者以外を傷つければ一つ減る。
当然才能は多いほどいいので、才能が減る行為は忌避するものですが、
植木は人を守るためなら、才能が減るのも全く気にしない。
それがカッコいいんですよね。

助けて得するとか損するとかではなく、ただ助けたいから助ける。
実力が上の相手でも一歩も引かず、他人のために傷つきながらも、絶対に倒れず戦い続ける姿は正に理想のヒーロー。
私がうえきを知ったのは、小学生高学年ごろだった記憶していますが年代が近いこともあって素直に尊敬したのを覚えています。

ストーリーも短くまとまっていて読みやすいのでオススメです。
バトルものだと徐々にインフレして、最後の方は訳分からなくなったりするものですが、本作は16巻で完結。インフレの兆しが見え始めた頃に終わるので最後まで緊張感をもってバトルを楽しむことができます。
(後半に出てくる能力は結構ヤバいのが多い。1秒を10秒に変える能力とかガンダムみたいな巨大ロボに乗り込む能力とか……)
興味がある方はぜひ読んでみてください。

ヤバい能力の筆頭。物にしか付与できないという条件はありますが、かなりのチート。

近頃、創作でも植木のような真っすぐ正義漢な主人公が減っている気がします。
王道を避けようとするクリエイターのズラしか、それとも正面を直視できない時代性故なのか……
でも、こんな歪んだ今の世の中だからこそ、植木耕助が必要です。
肥大化した承認欲求の暴走、金と権力への欲望、才能や家柄への憎しみ、
そういった心の氾濫は今や止めようもありません。
彼の能力は『ゴミを木に変える力』。
願わくば、彼がタワマンよりも高い樹を植えてくれることを祈って。
桜の樹を見ながら、そんなことを思った今日この頃です。

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