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基山瑣末の短編小説

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#龍

【短編小説】龍の影に酔う

【短編小説】龍の影に酔う

「起きなって」
 目を覚ますと、サエが顔を覗き込んでいた。幸汰は目を擦りながら上体を起こした。
「あと1時間で店開けるんだから急ぎなよ」
 サエはそう言って部屋を出た。タッタッ……と階段を下りる足音がよく響いた。サエを見送り、幸汰は枕元へ目を遣った。乱雑に破かれた封筒から便箋が覗いていた。
 幸汰は昨日会った兄の香輔を思い出した。唯一連絡先を知っている肉親であった。実家を出てからロクなやり取りもな

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