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【エッセイ】数独が趣味です

常に頭の中で自分とおしゃべりをしている私は、〝何も考えない〟という状態を作るのが難しいので、〝何も考えないくらい何かに夢中になる〟ということを意識的にします。その中の行動の一つにパズルがあるのですが、ナンクロ、クロスワード、ピクロスなどいろいろやっていて、それでも自分の中の不動のナンバーワンは数独。小学生の頃からの趣味です。あんなにシンプルな構成なのに、どうしてこんなに数独って楽しいんだろうとやるたびに思う。
数独って難易度があるんですけど、初級から上級まで家にそろっていて、簡単な問題をサクッサクッとスピーディーにやると何も考えないという状態に至るし、〝こんなん絶対わかんねーだろ〟っていう超難問を永遠に考えるのも何も考えないという状態に至る。どちらにせよ数独は私にとって最強なんです。ずっとわからないで放置していた問題の答えを見つけた時なんかは思わず声が出てしまう。立ち上がってしまう。とにかくすごく興奮する…。
 
そんなこんなで数独歴がそれなりにある私ですが、この間テレビを観ていたら数独が趣味のおじいちゃん(九十歳くらい)が出てきたんです。
年末に恒例の〝ご長寿グランプリ〟という番組でした。その紹介ⅤTRによると、その方は朝新聞に隅から隅まで目を通し、その後はお気に入りの小説を熟読、そして数独をひたすらやっているとのこと。おこがましいかもしれませんが、なんだか生活が私に似ていて親近感を覚えました(見知らぬ六十歳以上も離れたおじいさんに…)。夫も彼の生活を見て一言。〝硝子ちゃんじゃん〟。

ここで少し話がそれるんですが、その日の我が家の夕食はお鍋で、買い物に行った夫が豚肉を買ったつもりが牛肉だったという事件が起こっていました。あんまり牛肉はご予算的な意味で買わないので、私は大喜び。〝やったー!久しぶりに牛肉が食べられる!〟とはしゃいでいたんです。そんな牛肉をウキウキで鍋にしゃぶしゃぶしながらテレビを観ていたら、先ほどのおじいちゃんがクイズ中に突然立ち上がり、叫んだんです。
〝牛肉が、食べたあああああい!〟
驚きのシンクロにお茶の間が一瞬止まりました。私の感覚っておじいちゃんなのだろうか。いや、おじいちゃんが若々しいのだろうか。そもそも年の差なんて意外とすんなり乗り越えられるのかもしれません。彼はどう思うのかはわかりませんが、私はこの人とはなんだか仲良くなれそうだな、と思ったのでした。あのおじいちゃん、YouTubeのASMR好きだったりしないかな(しない)。

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