カッコいいタイトルの話

読んだことないけど「このタイトルカッコいいな」って思った本を紹介してもいいですか。いいですよね。

本がいっぱいある。常にそう思ってきて生きてきた。
街の本屋に行けば本はたくさん売られてて、毎月新しい本が何冊も出版されてる。どれも面白そうで興味をそそられるけど、そんなにお金があるわけじゃないし、仕事の疲れや加齢による集中力の低下で読書にかける時間が少なくなっている。それでも「本を読みたい」という意識はあるので本屋やKindleで本を探しては「読む時間ないかなぁ」と購入を諦めている。

そんな自分が良いタイトルだなぁカッコいいよなぁ絶対面白いだろうなぁ読みたいなぁと思って未だに買ってない作品を紹介してきたい。相変わらず語彙力は未発達なので書評とかそういうのを求めてはいけない。


■星をつぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン/創元SF文庫

「星を継ぐ」という日常でお目にかかれない壮大な単語で、広大な宇宙で繰り広げられるストーリーを想起させるシンプルながらとてもカッコいいタイトルだと見るたびに思っていた。
自分はこういった硬派なSFは難しくてとても読み切れないだろうな……と思い、いつか読みたいリストの奥深くに眠っている……。


■虚無への供物/中井 英夫/講談社文庫

オタク君はさ、「虚無」とか「零」とか「存在しないもの」とかそういうの好きだろ? はい、好きです。
オタクは「零番隊」とか「存在しない〇番目」みたいなワードがあると無条件にときめいちゃうのだ。
供物という言い回しも良い。「生贄」とかだとホラーチックになって内容が限定されてしまう。「供物」にすることで物語の全容がどんなものかあえて隠しているんだろう。読んだことないので全部妄想なんですけど。


■隣り合わせの灰と青春/ベニー松山/幻想迷宮ノベル

絶版してたのが電子書籍で復刊した!ってTwitterで少し話題になっていた本。ダンジョンRPGゲームのウィザードリィが題材で竜とか剣とかそういうファンタジーな単語が無いタイトルだったので記憶にずっと残っていた。なんだろう。タイトル自体の語呂がいいのかな。「ただのダンジョンを攻略するストーリーだけじゃなくてキャラクターの群像劇も描くぜ」。みたいなのが想像できる。たぶん。灰と青春って隣り合わせなのか?あぁ灰色の青春とかいうもんな。でもファンタジー小説このタイトルなんだ。って悶々と考えてたらいつか読みたいリストの奥底にいってしまった作品。
実をいうと、この小説を知った後にプレイした『世界樹の迷宮X』でのギルド名を「灰と青春」にしてました。そこまでして未読なのかよ。


■なめらかな世界と、その敵/伴名 練/早川書房

各所で話題になってる百合SFらしくて今現在読みたいと思ってる作品。「なめらかな世界」という聞き慣れない表現の仕方だが、句点を置き「その敵」を強調してその「世界」と「敵」との対立を示唆しててなんだかすごくカッコいいタイトルになってる。SF小説はとにかくタイトルのつけ方が独特でカッコいい。


■機龍警察/月村 了衛/ハヤカワ文庫JA

オタクは漢字4文字のタイトルに魅かれる。間違いない。「巨神計画」「女神転生」「逆転裁判」「血界戦線」「月光条例」etc……。
最初はメカゴジラのことかと思い映画のスピンオフ小説かと調べてみたらどうやら違うらしい。
「機龍」という虚構的単語と「警察」という身近な存在がくっついて、警察が主役だけどSFな要素もあることが4文字で表現されてるの単純に素晴らしい。漢字の画数も良い感じで並べるとカッコいいんだよね……。
なにかで読んだけど百合要素があるらしいので近いうちに読みたいとは思ってる。本当だよ?

■双亡亭壊すべし/藤田和日郎/少年サンデー

双亡亭壊すべし…この漫画のタイトルらしくないタイトルは一度見たら頭から離れないインパクトがあった。
「なんで壊さないといけないんだ?」「双亡亭とは何ぞや?」「たかが家一つ壊すことをタイトルにしていいのか?」
そんな疑問を抱きながら読者はこの漫画を買って読むのだろう。
藤田先生の絵の「凄み」や「迫力」がタイトルに滲み出ているような強いタイトルだと思う。
藤田先生の作品通しで読んだことない俺がこんなこと言っていいのか。ファンに刺されないだろうか。


■隠し剣 鬼の爪

もし必殺技が使えるなら、間違いなくこの技名にする。少なくとも「隠し剣」は外せない。オタクは「能ある鷹は爪を…」系が大好きだ。確証はない。
「鬼の爪」というのも良い。なんせ鬼の爪だ。そりゃ隠さなければならないだろうというのがすぐに分かるネーミングだ。観てないからどんな技なのか分からないが。

■終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?/枯野 瑛 /角川スニーカー文庫

いつのころからか、ラノベは長文タイトルが一つのジャンルとなった。起源は諸説ある。
長文にして本の内容を説明する、それもタイトルの役割の一つだ。だから長文であることに批評するつもりはさらさら無い。
だが長文タイトル系の中で、これは名タイトルと呼べるだろうと勝手に思ってるのはある。それがこのラノベだ。
週末と終末をかける言葉遊び。予定の確認をする「忙しいですか?」。よくある会話の定型文に、最後「救ってもらっていいですか?」で付け足される。
本の表紙では~忙しいが右寄り、救って~が左寄りに配置されているのも憎い演出だ。「救ってもらって~」がこの物語の誰か(おそらく表紙のイラストのヒロイン)から発せられた願いの一言なのだろうと容易に想像できる。これをみたらこの少女に何があったのか気になってしょうがなくなり、本を手に取り読み始めるだろう。このタイトルを考えた人は天才に違いない。

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作品の「タイトル」は作者さんだったり編集さんだったりその道のプロの人達が知恵を絞りだして考え出したもので、どれも素敵でカッコいいものばかりだ。俺は書店で「どんなお話なんだろう」「面白いんだろうなぁ」と指をくわえながら眺めている。お金が無いのはつらいことだ。

読んだことないけどタイトルは印象に残ってる……そういう視点は読んだ後また別の感想になるんじゃないかと、だからいま読んでない状態で色々語るのもアリなんじゃあないかと思ったが、果たして意味があったのかどうか。

上にあげた作品はいつか必ず読むと心に誓い、とりあえず今読んでいる本を読み終えることを目標にしたい。

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