見出し画像

『OU』は、あなたのためにある物語【ゲームレビュー】

何に感動したのかに言及すること即ちネタバレになりかねない短編アドベンチャーゲームの感想、やっぱ難しい…。けれどプレイして良かったという気持ちはきちんと残したい。

作品の概要/何かと誰かの間でさまようゲーム

初めて見たのは(恐らく)インディーライブエキスポだったか。恐ろしく精緻な手描きの背景やビジュアルは、かなり話題になった記憶がある。

『OU』は海外文学の挿絵のような美しくて儚い郷愁を誘う世界ウクロニアを、記憶が無い「OU」と名付けられた少年となって探索する2D探索アドベンチャーゲームだ。

基本的にはこの世界の案内役であるオポッサムのサリーについていくように右から左へ…ちょうど本のページを捲るように進むことで、物語も進行していく。

池以外にも、入り江、水たまり、大きな水筒からこぼれた紅茶。水があるところなら移動可能。

OUが水に飛び込むと、アニメのようにアイキャッチが入り、次の場面に移動する。場面から場面の繋がりは有るようで無いような、本の挿絵があるとこだけを読むような感覚にさせられる。

ウクロニアにはOUとサリー以外にも住人はいるが、積極的にOUたちと絡むことは無い。

ただ進むだけでなく、場面の気になった箇所にふせんを飛ばして、ウクロニアという世界の一端を知ることができる。ふせんの中には蛍の絵柄でふせん自体が光ったり、火を点けるなど特殊な効果を持つものもあり、それを使った軽い謎解きもある。サリーがヒントをくれるので大抵の人は躓くことは…おそらく無いと思う(自分はちょっと引っかかったけど)。

綺麗だけど、意味深で要領を得にくい不思議な世界で、「何故この世界に来てしまったのか」「OUは何者なのか」「ウクロニアとは何なのか」謎を読み進めていくことになる。

そう呼ぶしかない理由とは…。

ゲームのような”何か”/絵本のような”ゲーム”

「ゲームのような何か」とは公式がこのゲームを表現したキャッチコピー。

ならばゲーム以外…絵本やアニメでこの物語を表現できただろうかと考えると、やはり違う。ゲームのような何かではあるけど、ゲームでなくては表現出来ないもの。そんな不思議な感情にさせてくれる魅力が『OU』にはあった。
……これ以上は察しの良い方にはネタバレになりかねないので控えておこう。ただ、ゲームをプレイし終えた後の心に確実に残る。そんなゲームであることは名言しておこう。

プレイ時間は5~6時間。途中詰まって実況動画を少し見たので、ストレートに進められるひとは4時間ほどで読み切れると思う。

いただいたサポートはお菓子に変化します