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邪魔系女子の憂鬱。

 「小澤ってさ、女子のグラビアとか見るの?」
 と、女子に変な質問をされる。
 その女子とは、関谷松子。
 同じクラスの女子。
 大してかわいいって程でもないけど、それがどうでも良くなるくらい、性格キモくて、なんか、本人としては、中学生男子のことをわかってるつもりであるらしく、よく男子に変な質問をして、それにのってきた男子と、バカな話をして盛り上がっている。
 そんな感じの子。
 僕は距離を置きたい子。
 でも、そんなバカを交えて、僕は友達とかとお喋りをしていた。
 放課後の教室、西日が差してて、先生とかもいないから、みんな自由な感じで、確かに僕らは中学二年生で、そろそろ高校どこにしようかとか、受験とか、あるのだけど、そういう現実を忘れられる、大切な一時。
 そこで僕らは、適当にお喋りをしてて、そのくだらなさに、どうでもよさに、僕は適度に癒されていたんだけど、そんな中、松子は僕に、さっきの質問をしたのだった。
 僕はその質問から、変な想像をする。
 晴れ空の下、水着の女の子が海辺を走ってる……
 するとそんなイメージを見透かすように、松子が、
 「海辺を走る水着の子とか好きでしょ」
 と言う。
 僕はどう答えようかなと思う。
 僕のイメージを言い当てられたのは、確かにスゴい。
 でも、僕は正直、海辺のグラビア撮影って、邪魔だな、と思っている。
 だって、晴れてる日の海辺って、他にそこで遊びたい人や、ゆっくりしたい人とかが、いるんじゃないの?
 そういう人たちは無視するの?
 アイドルなんかが独占していいの?
 どうせ許可とったとか、仕事だとか、クソな言い訳をするんだろうけど、でも、邪魔なのは変わらないでしょ?
 そんな想像するから、僕は嫌なのだけど?
 大体、グラビアが好きなのかって、それが女子による男子への質問か?
 バカなのかな?
 女子って?
 とまあ、そんな感じで悪口がわいてくるのだけど、でもそれを言っても、どうせなにも通じないだろうと思う。
 バカな男子が言い訳してるだの、性欲を誤魔化してるだのとしか思われないだろう。
 なら、相手にしなきゃいい。
 僕は、松子の肉まんみたいな顔から目を逸らし、なにも言わずに席を立ち、バッグを肩に引っ提げて、その場を立ち去る。
 周囲の子たちの目線を感じるが無視する。
 僕は教室を出る。
 廊下を真っ直ぐに歩きながら、自称わかってる「あたち」たちによる、迷惑さ、弊害なんかについて考える。
 男子はエロいのが好き。
 確かにそうかもしれない。
 でも、それについて、女の子がわかったフリをするのって、果たしてどうなのか?
 女の子に指摘されたり、認めたりをしないといけない?
 そんなに素直じゃなきゃいけないの?
 それこそが邪魔なんじゃないの?
 その踏み込みが、素直さが。
 海辺だのプールだので女の子の写真なんか撮ってるバカども。
 そいつらも、素直に受け入れないといけない?
 だってバカなのに?
 松子みたいに、気持ち悪いのに?
 やれやれ。
 僕は頭のなかに嫌いなやつら、嫌いなことがらを浮かべることに疲れたので、もういいや、考えないことにする。
 下駄箱で靴をはきかえ、校門から外に出る。
 夕陽が沈んでいく。
 もうじき暗くなるだろう。
 僕が背後に残してきた教室で、まだあの子たちは、お喋りをしているだろうか?
 将来のことを考えないで?
 それでいいの?
 バカなことには関わりたくない。
 バカな奴らとも。
 僕は、誰にも邪魔されたくないのだ。

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