糸

中島みゆきの名曲に乗せて、今を時めく《菅田将暉》さんと《小松菜奈》さんのゴールデンコンビが送る、珠玉の名作と謳われれば、これは観ないわけにはまいりませんでしょう。

“糸” 

- 以下、キャスト敬称略 -

はい。劇場に足を運びましたよ。平日の夕方の回、間引かれた座席だったとはいえ、そこそこの入りでした。

中学の同級生として惹かれあう二人が、運命の波に引き裂かれては再会し、互いの恋愛や成長を経て、再びめぐり逢うまでの壮大な愛の物語。

おそらく、春くらいの公開予定がコロナの影響で延びたのでしょう。あれだけ長いスパンでのプロモーションや封切前のこれでもかの番宣で、すでに内容については、ほぼ理解。

予告の中でストーリーも完結してしまってるしね。ええ、だから大方の予想はついていましたが…。それは、それとして

せめてもう少しくらい裏切ってくれないとっ。

若いカップルがけっこういたので、この手の話は、あちこちですすり泣き…が聴こえてきてもいいものだけれど。明るくなった館内は、

・・・

てな感じ。余韻もへったくれもない。

あたくしはというと、もう…カラッカラでして。

なんといいますか。。例えるなら

“高級幕の内弁当” を食わされたみたい。

まず、脇を固めるキャストがゴーカすぎるくらいゴーカで、これまたいちいち狙って当ててきてるもんで、そっちに気が削がれてストーリーに集中できない。

斎藤工の青年実業家、その部下に片寄涼太。このめっちゃグリースな２人と、キャバクラで働く小松菜奈の初対面シーンが

もう昭和の少女マンガのようで

小松菜奈と山本美月のあたまくっつけーの２ショットは、美人でも片や目と目が離れ、片やパーツが中心に寄ってるとゆーコントラストにばかり目を奪われ

高杉真宙はいかにもシンガポールにいそうで

榮倉奈々はそのまま『余命 1 ヶ月の花嫁』だし、

榮倉奈々の両親が、田中美佐子と永島敏行というのはとてもしっくりきた。顔も雰囲気も似てて本物の親子みたいだったわ。

山口紗弥加や竹原ピストルが端役で出てるのにもハッとさせられるし、 チーズ工房の松重豊はこれまたとってもいいし、成田凌と二階堂ふみのカップルも良かった。

そうして、倍賞美津子は存在感ありありで…。

つまり、どこをとっても、どのシーンも濃いぃーのである。

キャストひとりひとりが主役と絡むエピソードが、全部スピンオフのドラマになるくらい、際立ち過ぎているのね。

…などと、いうと

え？ それのどこが悪いの

と、言われそうだけど、それらの全部が、めっちゃ浅いのである。

をいをい、今のシーンどした？ あらっ。もう、おしまい？？

主人公たちが中学生から30歳までの時系列で起きてく出来事がさぁーっと流れてくだけで、見ているこっちは消化不良のまま、おいてきぼりを食わされてしまう。

ＢＧＭでみゆきの「糸」が使われるのだけど、えっ、ここでー！？ やっつけ感ハンパなくね？ とか。

カラオケで平成生まれの若者が、あたし中卒やからね～♪ の《ファイト！》を半泣きで歌うかー（しかも２回も違うコが）とか。

なんかいちいちとってつけたような感じも、いまいち、入り込めない。

《今半》の弁当なら、あたくしは “幕の内” より “すき焼き” を食べたいのだけれども！

全編を通しあたくしが好きなシーンは、友だちの結婚式でふたりが再会するところ。唯一あそこだけ「あー、すっごいわかるわ」と、ドキドキした。

とはいえ、役者陣は、みなさん熱演で素晴らしかったですよ。

ひと際、小松菜奈は、これまでキワモノの役が多かった印象 (あたしがみたのがたまたまだったのかも知れないが) でしたが、奥行きのある凄みのある芝居で、これからが楽しみな女優さんだと改めて思いました。

それからー

これは、邪推かも知れませんが。。

菅田将暉は、いつもの菅田クンじゃないように見えてね。とりわけ、菜奈さんと絡むシーンは。

世間では、ふたりはリアルでつきあってるのか、はたまた映画の番宣のための偽装カップルなのかと、取り沙汰されているようですが。

今回は、役に憑依されたような、いつものカレのあの感じではなかったです。どこか照れがあるような、なんか時々素顔のカレが見え隠れして、役柄としての演技じゃなかったような。。

まあ。ですが、アレですよ

「ボクが葵ちゃんを守る！」

は、最強なんですよね。いつの日も女の子はヒーローに護られるのが夢ですから。

ラピュタの《パズー》しかり。

いい映画なんじゃないでしょうか。(どーでもいい映画…ってふうに聞こえたら、あしからず。いえ、そんなことないです)  大きく好き嫌いが分かれることはないと思います。

ふつーにいい作品ですよ。劇場でみる価値はあるかと。よろしければどうぞ。

糸  2020年8月　☆3

ディストラクション・ベイビーズ  2016年5月   ☆4
こちらは観る人を選びます。バイオレンスが平気な人はどーぞ。 ビッチな小松菜奈。とりわけ、菅田将暉のクズッぷりったら、もうね (笑)  



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