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チェックイン・チェックアウトカードを会社で1年間使い続けて見えた、組織の変化

こんにちは、和田です。
今から1年前の2017年9月、クリエイティブな会議の秘密 〜チェックイン・チェックアウトカードを使ってみよう!〜というイベントに参加しました。チェックイン・チェックアウトについてより深く考え実践したくなって、グラグリッドの備品として「チェックイン・チェックアウトカード」を購入しました。


そして実際のプロジェクト、インターン参加の場など、会社の様々な会議でこのカードを使い続けてみました。
今回は使い続けたことで見えたことをレポートしたいと思います!

チェックイン・チェックアウトカードって?

チェックイン・アウトカードは、会議の前後で「チェックイン」「チェックアウト」を行うことで、一人ひとりが主体的に参加しやすい会議を支援するためのカードセットです。
「チェックイン・チェックアウトカード」より引用

会議のチェックイン、チェックアウトについては、商品のページで以下のように説明がなされています。

・会議のチェックイン
会議を始めるにあたって、心と身体を準備するために行います。全員が等しく発言する機会を作り、お互いの状態を聞き合うことで、安心感を高めて会議を始めることができます。
・会議のチェックアウト
会議を終えるにあたって、理解度、納得度、満足度を高めるために行います。全員が等しく発言する機会を作り、会議中にそれぞれが思っていたことや感じたことを聞きあうことで、過程の振り返りをすることができます。

このカードは、会議の前(チェックイン)・会議の後(チェックアウト)で、ランダムにカードをひく、というところがポイントです。

ひいたカードが問いかけてくることで、「この人が言っているのに何か意図があるのでは?」的かんぐりをせず、瞬間的に感じたことをだしやすくなるのです。

前提:グラグリッドでの「チェックイン」「チェックアウト」

前提として、グラグリッドでは、日々のプロジェクトで合意形成・意思決定をする1時間程度の会議では、チェックイン・チェックアウトを行うことは少ないです。
背景としては、以下が挙げられます。

・社長含む4名の社員同士、もともと友人的な関係性からはじまったこともあり、心理的安全性は比較的高い。(もちろん、立場の差や状況で高低は存在している認識)

・プロジェクトの打ち合わせは、少人数。皆概ね当事者で、当事者意識は切実である。

・すべての会議で、描きながら会議を行う社風であり、理解度、納得度、満足度は高い状況である。ペンと紙で手が埋まっているので、そもそも物理的に内職を行うことは不可能。

・slackの「ニコモヤ日報」で内省を行う習慣が、会議のチェックアウトのふりかえり用途を兼ねている

(↑「ニコモヤ日報」はこんなかんじ。一日何をやったのかの簡単な説明と、ニコニコと、モヤモヤを、slackでシェアしあう習慣があります。社内や社外での会議プロセスについてもふりかえることもしばしば。)

例外的に、月に2回程度行う、会社の体制等の重要事項を検討する定例会議ではチェックインをする習慣がありました。ワークショップ本番での外出や出張が多く、互いの状況をslackで補う他、対面で感情も含めた状況を理解しあうことを重視していたためです。
ただ、その用途上、Good&Newのようなアイスブレイク的な問いを使うことが多い側面もありました。

さて、そんな中、カードを使ってみたらどんなことがおきたでしょうか?


「会社の体制を考える」ディスカッションの質が変わった

特に定例会議のうち、変化を感じたのは、総務・経理的な話、人材採用、これからの経営方針など、「会社の体制を考える」という趣旨のディスカッションでのカードの活用でした。

「会社の体制を考える」ディスカッションにおいては、(たとえ心理的安全をある程度保っている関係性にあっても)会社内で知識や経験、情報の差が相応にあり、おのずと発言者も偏りがでてきます。

特にこの発言の偏りについては、「この人はこの分野が強いから信頼しよう」という関係性があればこそ、その人の発言につい依存してしまうという種類のものでした。
この依存が重なっていくと、「この分野がこの人は強いし、自分は若輩者でわからない。ここはまかせておこう。」と、会議への自己効力感も、関与度も低い状態となってしまいます。
この状態は、私達にとって望ましいものではありません。

「会社の体制を考える」ディスカッションで自己効力感・関与度もあげるために、チェックイン・チェックアウトカードがとても力を発揮してくれました。

例えばチェックインカードで。

「よりよい話し合いをするために、どのようなことを大事にしますか?」

という問いが問われた時。
必ず参加者として、自分が主体的にどう関わるのか、ということを考え、言語化し、表明することが求められます。

無意識的に依存しがちな立ち位置から、「自分はこの分野はわからないけど、その立場だからこそこういう関わり方をしていこう!」と切り替わるのです。
実際に、自分も含め、社内では「わからないなりに、質問をたくさんする!」「自分ができることを見つける」といった発言を聞くことができました。また、そうした発言が全体にシェアされることで、知識や経験が豊富な立場のメンバーも「質問がくるのか!じゃあ質問大歓迎!」という関わり方になり、結果としてコミュニケーションが密に交わされるようになりました。

その場の会議が変わること、その変化が積み重なることで、経験や知識が浅いメンバーにとっては「未知のことについても、自分事化してゆける価値」、経験や知識が豊富なメンバーにとっては「他のメンバーの自己効力感、関与度を上げることができる価値」双方があるなと感じています。

「新しいメンバーとチームをつくって、新しく何かをつくりあげていく」時にパワーを発揮してくれる!

グラグリッドでは、共創型サービスデザインファームという会社の特性上、クライアント社内の方、外部パートナーや、インターンの方など、様々な方とチームを組んでプロジェクトを行うことが非常に多いです。
そうしたチーム結成時、チェックイン・チェックアウトカードを利用すると、組織と組織の壁、そして組織内の壁も超えて活動しやすくなるように感じました。

例えば、小学校での「おえかきシンキング授業」を実施するための、中心となる先生方との打ち合わせ。

中心となって活動をけん引されてきた先生の他、今回はじめての先生もいらっしゃいました。学校の先生方、グラグリッドのメンバー、みんなでチェックインカードを引いて、今日の会議について語り合うところから会議を始めました。

「今回はじめてでドキドキです」といって緊張されていたある先生は、このチェックインカードに最初はびっくり!
でも、ゲームのようにカードをひいて、チェックインの問いに答えていくことで、どんどん緊張がほぐれていきました。
先生方も、グラグリッドメンバーも、お互いに「この人はこんなところが気になっているんだな!」「この会議にこんなことを期待してくれているんだ!」という、プラスアルファの情報を共有しあうことができました。

そして打合せの最後に、成果物を囲んで、みんなでチェックアウト。
ふりかえりの問いに対して、考えた答えを表現するのはチェックイン以上に難しいのですが。毎回毎回、この瞬間は、必ず参加したメンバー同士、すごくいい笑顔になるのです。

また、他のプロジェクトでも、夜まで二時間以上の濃密な議論をした後にチェックアウトカードを活用してみたところ。
みんなで、チェックアウトカードをじっくり見あいながら、相手の言葉をきく・・・というシーンが生まれていました。

互いに立場が異なるからこそ、越境しあったときの戸惑いも、ディスカッションしあったときの大変さも、大きいのだと思います。
その戸惑い、大変さを認識しあうためには、自分の声に耳を澄まし、他人の声に耳を傾けることが必要不可欠です。
とはいえ、それを真正面から語り合うと、深刻でヘビーになってしまう。
チェックイン・チェックアウトカードは、耳を傾け合う時間を「真剣に、でもイイ感じにゆるく、楽しく、簡単に」つくってくれるものだと感じました。

活用にあたっての難しさ

とはいえ、もちろん、チェックイン・チェックアウトカードを活用する難しさも二つ程、感じています。ただ、これはチェックイン・チェックアウトを実施すること自体の難しさなのかもしれません。

一つ目は、自分がオーナーシップをもっていない会議で実践するのが難しいという点。
チェックイン、チェックアウトを重視する人はまだまだ多くはありません。オーナーシップをもつ方が制限時間いっぱいに会議を設計している中で、「チェックイン、チェックアウトをやりましょう」と言い出すのは、まだ少しハードルが高いな、と感じています。

私は基本的に、(ホームである)グラグリッド社内で行う会議で、自分がオーナーシップを持っている会議で導入を行ってきました。
このグラグリッドでの会議時間を通じて、チェックイン・チェックアウトを一緒に行うことの価値も感じてもらえたらいいな♪と思っています。

二つ目は、活用する人という点。
実は、1年間ところどころで使っていますが、みんながみんな使っているわけではない、という点です。社内で中心となって活用しているのは、やっぱり自分が多そうです。(そりゃ、切実感をもって買ったのが自分なので当然!)

それでも、会社のことを深く考える定例会議や、パートナーの方と打ち合わせる会議の最初に、私がぼーっとしてると「チェックインカードやりますか?」という声もあがるようになってきました。
チェックイン・チェックアウトの時間を大事にしてくれる人がじわじわ増えているのが、とても嬉しい!

サービスデザインのプロジェクトファシリテーションへの活用

商品やビジョンを生み出すためのプロジェクトのファシリテーションでは、プロセスや生み出されたアイデアについ目が向きがちですが。
サービスデザインのような「組織を超えて価値ある体験、持続可能なサービス」を考えていく時には、そこを育むチームも、同時に育んでいくという視点も非常に重要になってきます。

サービスデザインのプロセスでは、見えない本質を掘り起こすために模索し葛藤したり、「これはいまいちだと思う」とアイデアをつくっては壊していくというシーンが必ずでてきます。
こうした熱量の高い、侃々諤々の議論なくして、事業創出はありえません。


真剣だけど深刻じゃなくて、何より楽しい!
チェックイン・チェックアウトカード事業創出の土壌を作るシーンで、どんどんこれからも活用していきたいと思います。

↓再掲!このカードをきっかけに、いろいろな組織やチームにいい時間が流れますように~



(和田)

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