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学生インターンが考える、未来の社会を「自分ごと」として捉えるための未来洞察ワークショップとは?

今回は、学生インターン山田さんによるワークショップ考察です。未来洞察のワークショップにはじめて参加した彼女が、このワークショップで何を感じたのか?未来洞察をどう捉えたのか?をレポートしてもらいました。



未来洞察を研究する学生インターンが
レポートに挑戦

はじめまして!
今回の記事の執筆者、信州大学大学院 修士課程1年の山田光花莉です。

私は現在、大学にて「まちづくりにおいて一般に汎用できる未来洞察ワークショップの提案」というテーマを研究しています。

未来洞察とは、「不確実な未来を自社の成長機会として取り組む」ための方法論であり、イノベーション創造の起点として活用しうるもの

書籍新たな事業機会を意味つける「未来洞察」の教科書 より引用

未来洞察は主に企業や行政で用いられていますが、一般の人や初心者でも簡単に使えるワークショップを提案したいと考えています。

今回はグラグリッドさんのインターンとして、パナソニックホールディングスさん主催の未来洞察体験ワークショップ「KIZASHI-WORKSHOP」に参加する機会をいただきました。このワークショップに参加することで、多様な人と一緒に未来を創造していくために大切なことに気づかされました。この記事では、私の気づきをご紹介していきます。

まちづくりでは
未来を「自分ごと」として捉えられない課題が

近年、行政と生活者が一体となったまちづくりが盛んに行われています。
行政の狙いは、主体的な活動を生活者自身が立ち上げて、継続的に運営してほしいというものですが、実際には行政のサポート無しで生活者だけでまちづくりを進めるのは難しいという課題があります。

その要因の一つとして、行政がメインでビジョンを策定しているため、生活者が「自分ごと」として、まちの未来を思い描くことができていない、という点が挙げられます。

まちづくりに関連したWSに参加した際の参加者の様子(信州大学主催)

生活者自らが未来を思い描いて策定したビジョンならば、今よりも主体的に始動・運営できるようになるのではないかと考え、「自分ごと」として未来を捉えてもらうために、未来洞察のワークショップが使えるのではないかと考えています。

未来を「自分ごと」として捉えるための
3つのポイント

今回私は、未来洞察を体験するワークショップに参加し、未来を「自分ごと」として捉えるには以下の3つのポイントがあると感じました。

ポイント① 未来の社会に生きる「自分の姿」をまずは想像する
ポイント② 
「自分の未来」を絵に描くことで具体的に伝える
ポイント③ 参加者それぞれが意見を出し合える「共創の場」を作る


ポイント① 未来の社会に生きる「自分の姿」をまずは想像する

未来洞察の多くは、未来の社会を考えることから始まります。

では、「未来の社会ってどうなると思う?」と問われた時、みなさんはまず何をイメージしますか?私は、そもそも自分は未来で何をしているんだろう?家族や仕事はどうなっている?という、身近なことから考え始めます。

未来は突然に現れるものではなくて、自分や周りの人が今生きている状態の延長線上にあるものですよね。漠然と未来を考えるのではなく、まずは自分起点で少し先の未来を想像してみる。これが「未来の社会」を想像する第一歩なのではないでしょうか。

自分起点で少し先の未来を想像する。これが「未来の社会」を想像する第一歩

そして、未来洞察の特徴でもある、「不確実性」の掛け合わせを行うことで、自分自身の未来から、一気に未来の社会へと視野を広げることができます。

最初にも述べたように、いきなり「未来の社会」を考えることは難しいです。ですが、自分を起点に未来を考えはじめることで、未来を自分ごとで考えることができるのだと気が付きました。

ポイント② 「自分の未来」を絵に描くことで具体的に伝える

2つ目のポイントは、未来の姿の共有方法についてです。

未来の自分の姿や社会の姿をイメージできたとしても、その後、同じイメージを他人に伝えることはできるでしょうか。生活者同士でまちづくりをしていくためにも、みんなが同じ未来を想像できていないと、活動していく中で目指したい未来に齟齬が起きてしまうかもしれません。

しかし、今回のワークショップで体験した「描いてみよう!」のコーナーでは、未来の姿をより具体的で正確なイメージとして共有することができました。

私が実際に描いた絵はこちらです。

思い描いた 未来の自分の姿

「10年後は、家族と自動運転車で世界中を旅しながら暮らしたい」というイメージと、「遠隔操作で自産自消。都市部に新たな農業スタイルがひろがる」という社会変化仮説を掛け合わせ描いた未来図です。

絵を描きながら、家族一人一人はどんな感情で、どこで何をしているのだろう?と、より詳細な部分に考えを巡らせることができました。また、グループ内で共有する際には、お互いの絵を見ながら、

「この人は何で誇らしげな顔をしているの?」
「違う未来なはずなのに、なぜかみんな畑を描いているね!」

など対話をしていく中で、言葉で整理しきれていなかった部分が参加者間で補完されていったり、互いに共通している部分を見つけることができたりしていました。参加者からは、「イラスト化により、思考の解像度が上がる」「文字では伝わらない情報を可視化できる」といった声があり、絵で表現することの大切さに気付かされました。

ポイント③ 参加者それぞれが意見を出し合える「共創の場」を作る

最後のポイントは、場の作り方についてです。

自分の未来のことを語るならまだしも、未来の社会について発言することは、勇気が要ると思いませんか?参加者が意見を言い合える場について、工夫することが重要であることにも気づきました。

今回体験した「ワールド・カフェ」は、カフェのようにリラックスした雰囲気でざっくばらんに話せる空気づくりがありました。また、未来の社会を考えるきっかけとして、「問い」や「未来のイメージ(今回は社会変化仮説)」を提示することも、話が活発化され、短時間で深い話をする上で役にたちました。

また、対話を可視化することも、自分たちで話し合っていくためには重要な役割を果たしました。次々に行き交う発言を書きとることは大変ですが、お互いに協力しながら記入していくことで、発言者の意見を全員が真摯に聞き入れている空気づくりができていました。

対話をしながら可視化する様子(グラグリッドの過去の事例より)

「これさっき言っていたことにつながるね」
「ということは、こういうことも考えられるかな?」
と視野が広がりつつも、話が深まっていく様子も見られました。

未来を「自分ごと」として捉えると
「共創」が生まれる

今回のワークショップで、未来の社会を「自分ごと」として捉えるためのヒントを学ぶことができました。

今回の参加者は、最初から積極的に参加される方が多い印象でしたが、それでもワークショップ後には、全員が机に身を乗り出し、前のめりになっていました。

未来は抽象的で、想像した未来のイメージを伝え合うことはとても難しいことです。そんな抽象的な未来だからこそ、参加者全員が「自分ごと」として未来を捉えることができれば、自分の言葉で伝え合い、未来を語りあうことができるようになるのではないでしょうか。

「自分ごと」として未来を捉えるとは、共創を生み、地域に根づく未来を考えていくことなのだと私は感じています。

今回学んだことを生かして、地元の生活者によるまちづくりを活発化できるようなワークショップができるよう、引き続き研究を頑張ります!

(学生インターン:山田 / 記事サポート:川村)



今回、インターン生の山田さんが参加したワークショップは、
パナソニックさんの未来洞察活動のサイト「KIZASHI LAB」からもご覧いただけます。


KIZASHI LABの構想プロジェクトはこちら


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