身近なものからヒントを得て、新しい意味を創りだす!~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業【第二回】 ~
教室中に溢れた、未知の国の生き物たち!
未知の国の生き物は、予期せぬ動きをしたり、気づけば生態系として関わり合ったり。生徒自身思ってもいなかった世界をみせはじめていました!
グラグリッドと、新宿区立落合第六小学校で行っている参加型体験授業「おえかきシンキング」。この記事では、第二回「空想する」の様子をレポートします。
前回授業の第一回「楽しむ」で一人一本の自由を手に入れた生徒たち。「空想する」ことでどんな発見があったのでしょうか?!
▼第一回「楽しむ」の様子はこちら
・未来へ向けて「1人1本の自由」が生み出すパワー!~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業~
・「楽しむ」を超越し、「解放」しあった子供たち~新宿区立落合第六小学校×グラグリッド 参加型体験授業 ~
「空想する」=未知の世界を考え出す方法
今回、私たちは「空想する」=未知の世界を考え出す方法、として定義しました。未知の世界を考え出すヒントは、実は身の回りにたくさんあふれているんです!
今日の挑戦「未知の国の生き物」をきいて、生徒たちもわくわく。
さっそく身の回りのもの(今回はたくさんの雑誌やチラシ!)から「これぞ!」というものを選び切り抜いて、組み合わせて、生き物を考えていきます。
「ここからどうしようかな?」
眺めて、悩んで、またくっつけて、切り抜いて。だんだん、生き物の形が見えてきました!
「この生き物は、教室のどんなところに生きている?どんな風に動いている?」
ここからは、新しい生き物が、どんなところに生きているか、どんな風に動いているかを考えるタイムです。
生き物のいる場所や動きを考えていくのに、大事なのが、体を思いっきり使うこと!
「例えばこの生き物は、愛する人と人の間にいて、こうやって、ぽふっ、ぽふっ、って進んでいくんです!」
ファシリテーターも、体を思いっきり使って、例を説明をしていきます。
生徒たちも我先にと生き物を持って、教室中で生き物のいる場所を探しだします。
教室の扉の上のエリア、窓、ランドセル入れの中、教室のすみ。
「この生き物には、ここしかない!」を、体をいっぱいに使いながら、考えていきます。
未知の国の生き物展覧会!
「これぞ!」という生き物のいる場所、動きが見えてきたら。
「未知の国の生き物展覧会」へ向けて、生き物の説明を書いていきます。
説明を書き終わったら、「未知の国の生き物展覧会」スタート!
生き物をつくった生徒は、同じグループの生徒を、生き物がいる場所へ案内して、どんな生き物かを説明していきます。
生き物の説明をきいた生徒は質問の嵐!
「それってどんな風に動くの?」「どうやって子孫を残していくの?」互いに質問してききあい、共有しあっていくうちに、生き物の世界がつながりあって、新しい生態系が生まれたグループもありました!
「どんな風にひらめいた?」
最後に、未知の国の生き物がどんな風に生まれたかをふりかえっていきました。
ひらめいた過程を思い出していくと、不思議なことに。
どんどんまた手が動いて描きたくなったり、人に伝えたくなったり、教室の熱量があがっていったのです!
思ってもみなかったモノとモノがくっついて何かがうまれたり、形から「これっぽい!」と気づいて見立てていったり、「もう形にならない、どうしよう!!」と叫んでいたら周りの友達と合体してしまったり…生徒たちはそのプロセスを授業の時間いっぱいに語り合っていました。
「空想する」でおきていたこと ~「未知の世界にたどり着くための経路」と、「どこにいるか?」の多様性~
授業終了後は、恒例の先生方とのふりかえり。
各クラスでどんな反応があり、どんなことが起きていたのか、ファシリテーター同士で共有していきます。
話をしていく中で見えてきたのは、生徒たちが見出した「未知の世界にたどり着くための経路」と、「どこにいるか?」の多様性でした。
↑絵で全体像を示すと、こんなイメージ。
新しい、未知の世界にたどり着くためには、「〇〇ぽい」や好きなものをベースに「見立てる世界」に登って、さらにそこから意味の世界に登っていくというイメージです。
その登るプロセスには、多くの経路があります。
ここでは、この授業「空想する」でおきていた特徴的な状況を3つ挙げたいと思います。
①見立てられない
一つ目は、「見立てられない」という状況。「豆腐は豆腐じゃん」のように、素材をそのままに見てしまい、見立てることが難しく、終わって悔しい思いをしている生徒たちも見受けられました。
ただ、今回は普段と違う考え方をしたという意味で、私達は「体験できたことが大事」と捉えています。
②見立てる時の相互関与
二つ目は、形の意味を見出すプロセスでの相互に関与する状況です。
生徒たちは、他者との相互関与(刺激)をきっかけに、固着した状況から抜け出していくことがとても多かったのです。
例えば、新しい生き物を見出していく中で、悩み、手が止まってしまった時。グループ内での会話や、他の人の創作物を見て進めるきっかけを得ることで、新たなひらめきを得て、再び手を動かして、壁を越えていくことができたのでした。
③飛躍した状況と、飛躍しなかった状況
3つめは、新しい意味を創り出す際の「飛躍する」ことについて。
生徒たちが取り組む中で、飛躍した状況と、飛躍しなかった状況、両方がおきていたのです。
飛躍しなかった状況では、生徒たちが新しい、未知の意味を見出すというより、作って完成すること自体に集中してしまったのです。
一体、何がおきていたのでしょうか?
私達はクラスでのファシリテーターの関わり方や、生徒の反応を考えていく中で、大きな分岐点は「この生き物は、教室のどんなところに生きている?どんな風に動いている?」のワークにあったのでは、と考えるに至りました。
今ない世界を想定した場合、総じて、机から立ち上がり、教室中を探し回って、生き物を動かしまわった生徒のほうがより「飛躍」がおきていた状況だったのです。
身体を使ってこそ、想定していた意味から切り離して、新しい意味を考え出し、飛躍することができるのだと感じずにはいられない瞬間でした。
また、「飛躍する」ことに、とても大事な要素についても私達は気が付きました。それは、先生たちや、生徒同士などの「質問する人」です。
その質問があることで、新たな生態系が生まれたり、生物同士が関係を持ったりなど、思ってもいなかった意味を見出したり、意味を広がるきっかけになっていたのです。
「空想する」のねらい=社会システムモデルの創出
私達は、「空想する」=身近なものからヒントを得て、未知の世界を考え出す方法として定義していました。
これは、ただ新しい形をつくる、ということだけを意味するのではありません。未知の世界を考え出すとは、既存の意味(コンテクスト)を切り離した上で、そこにあるものに対して、周りとの新たな関係性を創り出すことまで含まれるのです。
それは、社会で言い換えたら、新しい社会システムモデルの創出といっても過言ではありません。
生徒たちが、「空想する」力を手に入れて。
どんどん新しい社会システムモデルを創出していけるようになる日も、そう遠くはない。
私達は第二回「空想する」授業を通じて、さらに未来が楽しみになっていったのでした!
(和田)