先生向け「ノート学」ワークショップ 〜探究型学習を促進する「書き出して考える力」を、自分ならではの授業で活かすには?〜
5年目を迎えた「ノート学」。
2022年6月中旬には、児童向けに「ノート学フェス」を開催しました。
ノート学フェスでは、児童が机の上の小さなノートから離れ、身体全体を使って書き出し、普段と違うノートにチャレンジ!
普段と違う場で描き、考えることが起爆剤となったことで、その後、先生方から「児童の学び方がより深まり、各々に探究する姿が見られています!」と嬉しいお知らせをいただきました!
次は先生方が、「ノート学」ワークショップで、授業環境にあったグラレコ活用方法を学んでいく番です。
早速、2022年8月末に、先生方へのレクチャーを実施しました。
「書き出して考える、探究する学びを促進する」ために、
自分ならではの授業での活用を考える
先生方へのレクチャーを実施する前に、教育現場の状況や、課題をお聞きしました。
という切実な課題が見えてきました。
そこで、先生方に書き出して考える、探究する学びを促進するためのヒントを掴み、「自分ならではの授業での活用を考えるきっかけを得る」ことに挑戦していただきたいと考えました。
2022年はタブレット活用の可能性も広げていく
落合第六小学校では普段から、タブレットを活用しながら授業を行っています。
植物の観察の様子を写真に撮る、体育の授業で動画を撮影しながらフォームを確認するなど、活用は多岐に渡ります。
「植物の観察など授業のなかで、子どもたちに写真の上に発見したことを書き込んでもらうんですが、文字が読みづらくなってしまうんです。」
「タブレット用のペンもあるんですが、うまく扱えなくて指で文字を書いています。もっとペンを活用できるといいのですが…。」
そこで、私たちは「先生方がタブレットを使用する授業で、思考も活用の幅も拡げてゆくメソッドを、一緒に挑戦しよう!」考えました。
「学びの探究」のヒントを得よう!
グラフィックレコーディングワークショップのスタート!
15名の先生方に集まっていただき、ワークショップがスタート!
クラス担任の先生から、音楽や図工の先生など幅広い教科の先生がチャレンジしていきました。
どんどん描いて、慣れていこう! ウォーミングアップ!
取り組みが始まって5年目ということで、学校に「グラフィックレコーディング」が浸透してきました。
実際に授業の中で取り入れている先生もいますが、まだ体験したことのない先生もいるので、ウォーミングアップからスタート!
書いて考える、学びを促進する メソッド体験
手と身体が温まってきたところで、書いて考える、学びを促進する4つのメソッドを体験!
先生方が体験できるのは4つの中から、2つ。
今年はタブレットを活用したメソッドも体験できるので、どれに挑戦しようか迷われている様子も見られました。
先生方が挑戦した4つのメソッドと、体験している様子の一部をご紹介します。
ビフォー・アフターでアイディアを書き出そう! 「変化メモ」
ビジュアル思考大全でも紹介されているビフォー・アフターで捉えて描き出す「変化メモ」。
「タケコプター」をテーマに変化メモに挑戦しました。
先生方からは「「ビフォー」と「アフター」を絵で描くことで、いったりきたり思考を深めて広げていくことができる」「絵で描くことで、解像度が上がる!思ってもなかったところまで考えられた」といった意見をいただきました。
授業の終わり、帰りの会で使える! 「振り返りシート」
人型のフォーマットを活用して、授業やその日一日の振り返りを書き込めるシート。
今回の「グラフィックレコーディング ワークショップ」をテーマに、冒頭のインプットやウォーミングアップの内容を振り返りながら、シートに記入していきました。
記入後はお互いに発表しあうことに。
同じワークショップに参加していても、発表しあうことで他の人と感じ方や、着眼点の違いに気付く。違いがわかる!といった発見の声が飛び交いました。
写真グラレコ基本編 「座布団」
写真の上に文字を乗せても読みやすい、デザイナーのテクニックの一つ「座布団」に挑戦!
「写真の上に図形を置くんですか?!」
「図形を透過して文字を乗せると見やすくなる!人に見てもらいやすくなりますね!」
驚きと、気付きの声が溢れていました。
座布団のメソッドを活用することで、「学んだことを人に見せるためにこそ、大事なことを掴み取ろうと考えるようになり、学びを深めていく」ということを掴んでいただけたように感じました。
写真グラレコ応用編 「空想お絵かき」
写真グラレコ応用編では、タブレット用のペンを使ってお絵かきをしていきます。
写真グラレコ応用編は、ただのお絵かきではありません。リアルな状況を土台に、発想を拡げて思考していくという方法なのです。
今回は、体育館のステージ写真に「シンデレラの舞踏会のシーンを空想してみる」というテーマに挑戦。
「タブレット用のペンって、うまく扱えなかったけど、思ってた以上に描ける!」
「ペンの太さを変えれば、自分が描きたいものが描けるよ!」
手を動かし、試行錯誤するなかで「思っていた以上にペンを活用することができるんだ!」と気付きが生まれていきました。
でも実は、ペンと写真の活用こそが、表現、そして思考をも拡げるきっかけになっているということを身体を通じて気付かれているように、私たちは感じました。
ワークショップをふりかえって
これから、書き出して考える、探究する学びを促進するために、自分ならではの授業を考えていく先生方。
ワークショップ全体をふりかえって、自分が挑戦したメソッドの共有や、どのように活用できそうかをダイアログしていきました。
これから授業で活用していくためのヒントが語られていました。
「変化メモ」の方法を使うと、登場人物がどのように気持ちが変化していったのか、変化を捉えることで、ストーリーをより理解していく際に活用できそう
「振り返りシート」の方法を使うと、学習したことで見つけた、自身の意見の変化を捉えられそう
写真グラレコの「座布団」を使うと、これまで人に見せる意識で書いていなかった児童も「人に見せる意識」が上がることで、学びを深めるきっかけにつながりそう
「これからチャレンジしてきたいこと」「チャレンジするうえで不安に感じること」を書き出してもらい、ワークショップ全体を描いたグラフィックに貼り出していただきました。
すると、「普段の授業でこんな風に活用してみたい!」「メソッドを取り入れると児童の思考を促進できそう」といった自分ならではの授業での活用に向けたコメントが!
「低学年で取り入れていくには?」「どの単元で導入していくと効果的なのか?」など、これから取り入れていくうえでの難しさの声もあげられました。
「自分たちの授業で活用するなら、こんな使い方が児童にマッチしそうだ」と、私たちも想像していなかった使い方をお話してくださる先生もいました。
これから先生方の創意工夫や、どんどん試していくサイクルが回りながら、児童も探究する学びが促進していくのではないかと思います。
次回は「ノートグランプリ」を開催予定!
探究型学習のエンジンとなる「書き出して考える力」を身につける「ノート学」。
次回は児童が取り組んできたノートを通じて発見し、称え合う「ノートグランプリ」を開催します。
今回の先生方へのインプットで、どのように探究する学びは変わっていくのでしょうか。
ノートグランプリに向けて、試行錯誤をしている児童に会えることを楽しみにしています。
関連リンク
▼探究型学習のエンジンになるノートを目指して! みんながアーティストになる『ノート学フェス』(前後編記事)
▼ビジュアル思考大全(三澤直加著)
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