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子供の身長が低いのは両親のせい?

 スポーツをする上で、現代では身体が大きく、足が速いというのはかなりのアドバンテージです。しかし、日本人をはじめアジア人は平均身長が欧米と比べて低く、子供たちの身長が低いのは遺伝的にもしょうがないと考えている人が多いようです。

 皆様は、サッカーのメッシの話は聞いたことがあるでしょうか?メッシは子供の頃、身長が低く、サッカーの才能に恵まれていても中々難しい時期を過ごしていたところ、スペインのFCバルセロナに入団と同時に成長ホルモン治療のサポートを受けることができ、現在170cmまで到達し、サッカー界で世界的な偉業を成し遂げています。
 メッシは子供の頃、成長ホルモン分泌不全症と言われ、成長ホルモン治療により身長を170cmまで伸ばすことができたと言われています。もちろん、高額な治療費をFCバルセロナがサポートしたことも美談として語り継がれていますが、スポーツ医学を専攻している医療者の中では、純粋な成長ホルモン分泌不全症であったのかどうか?もし、成長ホルモン分泌不全症であると成人期になっても成長ホルモンが分泌されませんので、あれほどのトップアスリートとしてのパフォーマンスを維持できるのか?の説明ができないため、懐疑的な見方をしている人もいます。しかし、成長ホルモンで身長が伸びたことは事実です。
 では、この事実の真相は解き明かすことは出来ないのでしょうか?
 意外にそうでもありません。メッシと同じとは言えないかもしれませんが、我々の施設では同様に、ご両親が背が高くなく、子どもも小さいので将来スポーツで活躍できるのか?が心配で相談に来られる方がいらっしゃいます。  
そのような方で、成長曲線で明らかに身長が低い場合には保険診療で成長ホルモン分泌不全症としての治療が可能であるため、小児科に紹介状を書かせてもらいますが、そこまで低くないけど、同じクラスで前から2番目や3番目といった方の採血データを見てみると、成長ホルモンの代謝産物であるソマトメジンCが正常下限であることがあり、そのような方に成長ホルモンの投与を行うと劇的な効果が出てきます。

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