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【読書記録】独立記念日 原田マハ

あらすじ

恋愛や結婚、進路やキャリア、挫折や別れ、病気や大切な人の喪失・・・
さまざまな年代の女性たちが、それぞれに迷いや悩みを抱えながらも、
誰かと出会うことで、何かを見つけることで、今までは「すべで」だと
思っていた世界から、自分の殻を破り、人生の再スタートを切る。
寄り道したり、つまずいたりしながらも、独立していく女性たちの姿を
鮮やかに描いた、24の心温まる短篇集。




一つの物語が20~40ページ程と短く、読む前は読みごたえないかも…
と思っていました。
でも、ある物語での脇役が違う物語の主人公になっていたり、
ゆるく繋がっていて、短篇だけど読み終わった時には満足感がありました。
文庫本解説で、瀧井朝世さんが「アソートボックス」と表現されていて
まさに、そんな本でした。

「生れけり 死ぬる迄は 生くる也」
生まれてしまったのだから命が尽きるまではとにかく生きればいいじゃないか。だけど誰でも生まれたからには使命があるんだ。
だから生きることに自信を持て。自覚を持て、勇気を持て
死は焦らなくても向こうのほうからいつかやってくる
だからそれまでは命を燃やし生きろ

 「冬の花束」より

今まですべてだと思っていた自分の殻から出て
きらきらした世界を吸収する

 「バーバーみらい」より

楽しみじゃない?一から始めるなんて
すごいじゃない?誰にも頼らないなんて

「空っぽの時間」より


私が初めてこの本を手に取ったのは、
大学4年生から社会人2年目まで付き合っていた人と別れた時でした。
またその頃、実家で大切に飼っていた愛犬を亡くし
Wパンチ喪失でかなり精神的に辛かった時期で、涙が止まりませんでした。
明日を迎える勇気をもらえた一冊でした。

休職中の今再読し、当時励まされた登場人物とは
また別の登場人物に背中を押してもらえました。

いろいろある人生。
ややこしい、いろんな悩みや苦しみから
独立するときに必ずそばにいてくれる素敵な物語たちです。

またいつか読むときがくると思います。


人生は長い。立ち止まることはたくさんある。
それでも小さな独立を繰り返していくことで、目に映る世界は
少しずつ輝きを増していく。
なによりも”独立”を果たした時、きっと今までより少しだけ
自分のことが好きになっているはずだ。

解説 瀧井朝世




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