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特定技能制度 職種拡大 新たに4分野追加



3月18日、「特定技能」について、自動車運送業や鉄道など4つの分野を追加するとした政府の案を自民党が了承しました。
政府はすぐにでも閣議決定する方針です。
自民党が政府による「特定技能」制度の拡張案を了承したことは、日本の外国人労働者受け入れ政策における重要な節目と考えられます。
この制度拡張により特定技能の対象に新しく含まれる分野は、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4つです。
これらの分野での人手不足は極めて深刻であり、外国人材の受け入れ拡大はこれらの産業の持続可能な成長に欠かせない措置です。
この記事では特定技能制度そのものの解説に加え、今回の特定技能対象分野拡大についても解説します。
それではまず特定技能制度とはどのような制度なのか解説します。



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特定技能制度とは

特定技能制度は、日本政府が2019年4月に導入した外国人労働者の受け入れ制度です。
特に人手不足が顕著な分野において、専門的な技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れ、労働力不足を解消することを目的としています。
特定技能制度は、特定技能1号と特定技能2号の2つの在留資格に分かれています。
特定技能1号
特定技能1号は、特定の業種で即戦力となる技能や知識があることが認められた外国人労働者を対象としています。最長で5年間の在留が許可されますが、家族の帯同は認められていません。これまでは介護や建設、農業など12の分野が対象となっていました。
特定技能2号
これは特定技能1号をさらに上回る高度な技術や知識が必要とされる分野に従事する人を対象とした資格です。現在のところ、特定技能2号の対象となる業種は限られており、またこの在留資格を持つ者は家族の帯同や無期限の在留更新が可能ですが、移行の条件や対象業種は今後の政府の方針によって変わる可能性が考えられます。

上に述べたように、現在特定技能の対象となっているのは12の分野です。しかし今回自民党に了承された政府案により、自動車運送、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加され、合計16の分野で外国人労働者を受け入れることになります。
それでは追加される4分野それぞれについて見ていきましょう。


新たに追加される4分野

自動車運送業


自動車運送業の分野としては、バスやタクシーの運転手、トラック運転手などが含まれます。
日本では高齢化社会の進行と若年層の自動車離れが進んだことによって、公共交通機関の運転手や物流業界のトラック運転手などの人手不足が深刻になっています。
特に地方部ではバスやタクシーが日常生活において必要不可欠なのにもかかわらず運転手が不足しているため状況は深刻です。
外国人労働者の受け入れを通じて、これらの人手不足問題に対応することできれば、現在課題に直面している地方の交通問題も緩和されることが期待されます。
ただし、公共交通機関の運転手としては高度な安全意識と共に、利用者とのコミュニケーション能力も求められるため、適切な日本語能力の確保が重要な条件となります。

鉄道


鉄道分野では、運転士、車掌、駅員、車両の保守・点検を担う技術者などの職種が対象となります。
日本の鉄道は世界的にその安全性と正確性で高い評価を受けていて、その品質を維持するためには専門的な知識と技術が求められます。
しかし鉄道業界では技術者の高齢化が進み、人材不足という課題に直面しています。
鉄道の重要性は日本の交通網において欠かせないものであり、人材不足を解消することは急務と考えられます。
外国人労働者の導入により、鉄道の安全運行を支える技術者の不足を補い、日本の鉄道サービスの品質を維持・向上させることが必要です。
また、鉄道分野でも日本語能力の確保が特に重要となります。
これは乗客とのコミュニケーションや緊急時の対応能力を確保するためです。

林業


林業分野では、森林の保育、伐採、植林、木材の収穫などの作業が含まれます。
日本の森林資源は世界有数の豊かさを誇ります。
しかし、森林管理や木材生産の担い手不足により作業が間に合っておらず、せっかく存在している森林資源の有効活用が進んでいません。
また、有効活用だけでなく、森林管理が疎かになると土砂崩れなど災害が大規模化する可能性も高くなります。
特に地方では林業従事者の高齢化が進んでおり、若い労働力の参入は喫緊の課題です。
外国人労働者が林業分野に導入することで、現在足りていない林業分野の労働力を補うことができます。
それによって森林資源の持続可能な管理と利用を促進し、地方経済の活性化にも寄与することが期待されます。
もちろん、林業では特定の技術や知識が求められる作業も多いため、専門的な訓練が必要となります。

木材産業


木材産業で対象となるのは、伐採された木材の加工、製品化、販売などに関わる職種です。住宅建築から家具製造、紙パルプ産業に至るまで、木材はあらゆる方面で利用されています。
また、木材産業では技術的な知識と共に、製品の品質管理や環境配慮が重要視されます。
しかし、ここでも人材不足が嘆かれていて、産業の維持と継承のために新たな労働力の確保が課題です。
そこで外国人労働者の受け入れにより、技術の伝承や新しい加工技術の導入など、木材産業の持続的な成長と国際競争力の向上が期待されます。


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受け入れ人数の見通し

政府は、2024年4月からの5年間で、新たに追加される4分野を含む16の分野で最大82万人の外国人労働者を受け入れると見込んでいます。これは、日本の労働力不足を補い、経済成長を支えるための大規模な取り組みを示しています。

今後の展望

自民党の了承を受け、政府は来週にも閣議でこの拡張案を決定する方針です。公明党の了承が得られれば、特定技能制度の拡張は正式に決定されることになります。これにより、日本の多様な産業で働く外国人労働者の受け入れ体制が強化され、人手不足の解消に向けた重要な一歩となることが期待されます。
この政策は、外国人労働者と日本の産業双方にメリットをもたらし、日本経済の持続的な成長を促進するとともに、国際社会での日本の競争力を高めることに寄与するでしょう。

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参考文献:NHK(2024)「『特定技能』自動車運送業や鉄道など4分野追加案 自民が了承」, <https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240318/k10014394471000.html> 2024年3月21日アクセス.

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