枠からはみ出せ！Gekkeikan Studio
Gekkeikan Studioの研究開発担当です。
これまでに、no.1～3の3本を販売いたしました。
https://www.gekkeikan.co.jp/gekkeikan-studio/
ご購入頂いた方の中には、ラベルを見て「あれ、なんだか書いてある内容が少ない？」と感じられた方がいらっしゃるかもしれません。
そうなんです、これまでのGekkeikan Studio製品は、一般的な日本酒でよく目にする情報が載っていないのです。
今回は、日本酒の“常識”とはちょっと違うことをしてみた、というお話です。
特定名称酒とは。
お酒に詳しい方はご存じかと思いますが、日本酒の分類の仕方の一つに国税庁が定めた「特定名称酒」というものがあります。純米、大吟醸、本醸造、、、というふうにラベルに書いてあるアレです。例えば、精米歩合60%以下（お米の外側40%を削る）なら吟醸、精米歩合50%以下（同、50%）なら大吟醸、原材料が米と米こうじだけなら純米、というように決められています。さらに、米の等級や、米こうじの使用量についても細かいルールがあります。つまりは原料や製法がこれらの規定に当てはまった日本酒だけが、純米、大吟醸などと名乗ることができる、ということです。
詳しくは下記リンクにまとめられていますので、よろしければご覧ください。
特定名称酒＝良いお酒？
大吟醸酒、純米酒という名称を聞くと、「美味しくて高級なお酒」という印象をもたれる方が多いのではないでしょうか。
では、なぜ美味しくなるのか、大吟醸（精米歩合50%以下）を例にとって見ていきましょう。
お米の外側を50%も取り除く理由は、できあがったお酒の雑味を減らしてキレイな味とし、さらに吟醸香という良い香りを出すため、とされています。お米の外側には脂質、タンパク質、ミネラルといった成分が含まれ、多すぎるとお酒の雑味につながります。さらに、これらは酵母や麹菌の生育を助ける栄養分なのですが、量が多いと発酵中に余分な味成分を作ってしまったり、吟醸香を出さなくなったりしてしまいます。微生物も、あまり甘やかして育てると良くない、というわけですね。
また、お米の外側の50%以上も削ってしまう製法ですので、原材料費はどうしても高額になり、商品のお値段も高くなることが多いです。
これらの理由から、大吟醸などの特定名称酒は一般的に「美味しくて高級な、良いお酒」とされています。
ではGekkeikan Studioは？
ここまでお話しすると、Gekkeikan Studio製品のラベルには何の情報が載っていなかったか、お分かりになるかと思います。
そう、吟醸や純米といった、特定名称酒の記載が一切ないのです。
「『日本酒を進化させる』と言いながら、原料や製法にこだわった造り方をしていないの！？」と思われるかもしれませんが、そういう訳ではありません。
実は、これまでのGekkeikan Studio製品の中には、純米酒と呼べるものや、大吟醸グレードの米を使用しているものもありますが、それらの情報はラベルに記載していません（試作品ということもあり、詳細は公開していない部分もあることをご了承ください）。
その理由は、Gekkeikan Studioのコンセプトである“日本酒の新たな可能性を探る“にあります。
精米歩合や米の品種で分類するという“日本酒の常識”とも言える点にとらわれ過ぎず、どうやったら新しい味わいが造れるか、どうやったら最新の研究成果を楽しんでもらえるか、を目的としてきました。
例えば、大吟醸グレードの米を使った時は、商品コンセプトに合わせた味と香りにするためであり、いわゆる大吟醸らしいすっきりした味を目指すものではなかったので、大吟醸という名称にこだわりませんでした。
今までの評価軸とは違った視点で味わってもらいたいという考えから、これまでのGekkeikan Studio製品は特定名称という枠組みに当てはめずに開発を進めてきた、という背景があったのです。
「特定名称酒＝良いお酒」という認識はたしかに間違っていないのですが、ひと口に「吟醸酒」といっても目指すところは酒蔵によって様々、味もお値段も様々です。
実際、どんなタイプのお酒なのか、買ってみるまで分からないということも多々あります。
特定名称酒という選び方に加えて、分かりやすい視点で日本酒が楽しめるようになったらいいな、というのがいち日本酒開発者の目標です。
日本酒に詳しくない人でも、「なんだか美味しそう・面白そう」と直感的に感じてもらえるような製品にしてみる。これも実験のひとつと言えるのではないでしょうか？
これからもGekkeikan Studioにて新しい日本酒を提案していきたいと思います。
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