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ハリーケインのPKを止めるには?

イングランドプレミアリーグ21/22 シーズンが終了しファンは次シーズンを楽しみに待っていることでしょう。僕自身は早くイギリスに帰ってまたスタジアムで試合を観れるのを楽しみにしています。

この文章を読み始める前に上の写真でケインがどちらに蹴ったか予想してほしい。答えはきっと文を読み進めればわかるでしょう!

ということで今回のターゲットはハリーケイン選手(トッテナム)で、彼のPKを分析して行きたいと思います。余談ではありますがPK系の分析に今はまっていて、この夏のYoutubeの履歴はほとんどPKのハイライトばかりです。

ハリーケインは今シーズン12本のPKを蹴っていて2本ストップされています。がその2本ともこぼれだまを押し込み得点には繋がっています。
そもそもなぜハリーケインを今回選んだのか。
彼は代表チームとクラブでPKキッカーを任されているPKのプロフェッショナルと呼べる選手。しかし彼は昔PKの際、彼自身メンタルが不安定になるのを悩んでいて、スポーツ心理学者と共にトレーニングを繰り返してきて、今では代表チームでも絶対的存在のPKキッカーとなったのです。

余談はここまでにして、データへと移っていきましょ。

軸足(水平)は軸足をボールからどのくらい遠くについたか。1footがスパイク片足分

彼は12本中9本を左側(彼からみて)、2本を右側、1本を真ん中に決めている。これだけでも相手GKにとってはかなり有力な情報ではあると思うが、、、
シュートの高さもほとんどが角下であり、インサイド、インフロントで蹴る低くて速いボールが彼の十八番となっている。
ただもちろんこれらはただのデータであるため、GKは最後に最後で彼らの勘に頼るのだろうけども。。
であれば、もっと信用度の高いヒントを見つければいいのではないか、と考え、自分が見つけ出したのが軸足の距離と向きである。
これらにはかなり強い関連性があると自分は見ていて、特に1選手であればもっと強いシュート方向との関連性があるとみている。

軸足とボールの距離(グラフでは軸足(水平))に注目してみて行きたい。軸足とボールの間にスパイク一個分のスペースがある時、ほぼ高確率で彼はゴール左隅へとシュートを放っている。
蹴り方は骨盤のローテーションの勢いをボールの勢いへと変換するような、体全体の捻りの力を利用して力強い速いシュートを打っている。
ほとんどのシュートがインサイド(時にインフロント)で正確性も重視したシュートとなっている。
逆に、軸足とボールの距離が近く、軸足がゴール右側に傾いている場合は高確率で軸足の向きと同じ方向に蹴っている。この時もインサイド(時にインフロント)で正確性も重視したシュートとなっている。

Sinclair と彼の研究チームの2014年のリサーチによると、インステップキックで力強いボールを蹴るのに必要なのは、蹴り足の膝の曲がり具合、そして骨盤のローテーションの具合によるという。

この骨盤のローテーションをに注目して全てをみていくと、なぜケインが軸足をスパイク一足分空けて軸足を着くのかが説明がつくはずだ。
まず、軸足が遠いことで、ボールと体の間にわずかではあるが、空間ができる。GKはケインのランニングの方向からどちらに飛ぶか予想を立てようとするが、斜め45度で入ってくるため判断はしづらい。GKが最後の最後まで分からないように助走をつけ最後に力強いシュートを左下隅に沈めるのがケイン流のPKである。わずか一瞬のGKの遅れではあるが、プレミア級になるとその1秒の差が天と地を分けるのだろう。

余談ではあるがアレクサンダー・アーノルドもキックフォームは程んど同じなのだが、最後の軸足の置き位置によってシュート方向が変わる癖がある。気になる方は、カラバオカップとFAカップの彼のPKを見比べて欲しい。


これらを踏まえて、ハリーケインは高確率で左に蹴ると同時に、軸足の位置を見ることでより高確率で彼の蹴る方向を予測することができるのである。PKキッカーとして絶対的な信頼を置かれている彼に対峙することは各チームのGKは高いだろうし、もし日本代表がW杯でイングランドと対戦する場合はこのデータは貴重になってくるはずであろう。


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