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ジョアンメソッド導入1年半経過〜「本人基準」と「全国基準」のダブルスタンダード〜

現在の職場・チームに来て早1年半。これまでの蓄積がある分やりやすい面もある一方、習熟度にばらつきがあるので難しい面もあり、1年目とはまた違うことを感じたこの半年でしたのでその辺りざざっと宿直業務の傍でまとめてみました。
(1年前のnoteはこちら→https://note.com/gkgashi/n/n40467e4b43b9 )

①1年生の理解速度の上昇
 去年は自分だけが答えを持っている状況で5人の選手と向き合っていました。彼らにとって全てのことが初めて聞くことばかり、初めてやることばかりでした。しかし、今年度は1年間トレーニングをした4人の上級生がいます。教える側に立てる人間が増え、当然、デモや実際にプレーする中での感覚的なコツなどを伝えてくれた分、昨年度よりも理解するスピードは速くなり、結果として去年よりも丁寧に練習することができました。ミスが起きた時も基本的に自分たちが通ってきた道なので「できるようになるから大丈夫」と言った前向きな言葉掛けがよく聞かれました。


②上級生の技術定着
 そんな教える側にたつ上級生も成長することができてきたかなと思います。特に、昨年度は「わかるけどできない」状態で終わったものが「わかるしできそう」「できた」に変化していくのがわかりました。今年の上半期で練習サイクルが3周目になりました。今のやりかただと2周目が1周目の発展的なプレーになって3周目は1周目とほぼ同じ内容だったので本人の中で上塗りしていくことができたのと、去年の映像と比較して見ることができたので客観的に成長が見えるところがよかったかなと思います。実際ミーティングで見せましたが、まぁみんな大爆笑ですわ。(そういえば、今年の1年生は去年の夏の練習参加の時点で「この先輩たちならすぐAチームいけそう」と思ったそうです。その目論見は儚くも3月の合宿で打ち砕かれましたがw)自分も物事を瞬時に正確に見て分析するのが得意なわけではないので映像に残すと成長が客観的に見えてすごく助かってます。テクノロジーの発展に感謝!

③指導者の蓄積と余裕
 自分も去年1年間自分なりに試行錯誤しながら指導する中でエラーの条件が整理されてきました。数学に例えるなら、答えを見れば途中式がなくてもどこで間違ったのかなんとなくわかるような状態です。もちろん完璧になることはありませんが、修正が具体的にできるようになってきたかなという実感もあります。また、うまく行かなくても「去年あんなだった彼がこれだけできるようになったんだから大丈夫」「この練習すればそのエラーは改善されるからノパサナダ」というような余裕ができました。昔に比べて「なんでできないんだ!」とブチギレることは明らかに減りましたね。(笑)

❹習熟度の違い
 今年度が始まるタイミングでの一番の懸念材料がこれでした。新入生と上級生が果たして同じメニューで良いのか。いろんな人に相談して、基本的には同じメニューをこなして1年生は補習をする形をとりました。でもこれは今でも正解が出てません。ただ、先に1年やったからと言って完璧にできている訳ではありませんし、同じメニューの中で要求を高くすることはできました。何より1年生に教える中で再発見をしたり学び直しができるメリットもあったので今年はこれでよかったかなと思います。うちはFPとの合流がAチームは毎日あるのに対してBチームはコーチとも相談して合流しない日も多くあったので悪くなかったかなとも思います。ただ、来年はさらに習熟度に差が生まれるのでどうしていこうかまた悩む時がくるのは確定してますが。

❺間違った余裕
 ②で書いた通り、去年に比べて心に余裕が生まれましたがそれは悪い方向にも出ていました。ミスを恐れない雰囲気で練習はできたもののそれがゆるさに繋がっている部分も感じました。内部事情もあるのでここには書きませんが、それはリーグ戦でも見られたのでちょっと履き違えというか拡大解釈というか、本質からずれてしまった部分はあったかなと思います。「GKが失点しなければ負けない」という基本理念と「俺が止めればいい、そのために練習する」という正しいクレイジーさ、言葉を変えればストイックさが足りなかったかなと思ってます。振り返れば、去年のレギュラーで出ていた子はそこを持ってた子なので、こちらが手綱を握って減速させる必要がありました。そこが今年の選手たちとは違ったのに同じアプローチしかしなかった自分のエラーだと思っています。選手たちを焦らせたい訳ではないですが物足りなくも感じました。そこは練習以外のところでアプローチしていくべきだったかなと思います。何事にもいい面と悪い面、いい意味と悪い意味があるのでその塩梅の難しさを突きつけられたかな。

この1年半で「何者でもなかった男の子」が「ゴール前に立てる青年」に成長し「GKとしてプレーできるアスリート」になっていく過程がだんだんと明瞭になってきました。そして「ゴール前に立てる青年」と「GKとしてプレーできるアスリート」のレベル差に思い悩む充実した日々を送らせてもらってます。
 ベンチプレスが30kgしか挙がらない子をどれだけ煽って罵って追い込んでも1ヶ月で100kgに持っていくのは不可能です。「昨日の自分より良くなる」しか成長はありません。ただ、筋トレは生涯続けられても高校サッカーで全国大会に出たいという目標を達成するには時間的な制限があります。悠長なことばかりも言ってられませんし目標とのギャップから目を背けてはいけません。(そういう意味では定期的に強豪校にボコボコにされるのはすごく大事。)その2つを行き来しながら成長速度を高めていくために指導者側の攻撃的忍耐力が最も必要なものかなと思うので後期はそんなことも意識して取り組んでいこうと思います。

ではまた半年後までさようなら!


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