見出し画像

#10 IBの試験はどんな方針で対策する?

皆さんお久しぶりです、長らく更新が滞ってしまっておりごめんなさい!

今回は、IBの試験(定期試験・模擬試験・最終試験)に向けた対策を行う際に意識すると良い点をいくつか紹介したいと思います。毎度のことですが、決してこの分野の専門家というわけではないので、一個人の考えとして参考程度に捉えていただけると幸いです!また、IBは暗記量が比較的少ないという特徴がありますが、一般受験にも共通して言える内容も含まれていると思うので、IB生に限らずぜひ目を通してみてください。

なお、勉強に活用するツール(教科書や Kognity など)については、もし機会があれば後程改めて取り上げたいと思っています。12年生の Mock や Final に向けた対策は、主に past paper を解くことが中心となりますが、今回はその前の段階から取り組めることに焦点を当てて説明します。


暗記量は削減の方向で!

いくらIBでは知識の暗記より活用が重視されていて、そのために Data Booklet などが用意されていると言っても、ある程度の暗記は避けては通れません。しかし、呪文のように何でも頭に叩き込む、というのは大変ですし、万が一試験中に覚えたことが真っ白になってしまったらどうすることもできなくなってしまいます。そこで、個人的に実践していた暗記量削減のためのテクニックをいくつか挙げてみます。

単位で考えれば公式不要

例えば、化学の stoichiometry では n = cV(モル数 = 濃度 × 体積)のように公式がいくつかありますが、実はこれらは一つも暗記する必要はありません。濃度は単位が mol dm⁻³ で、体積の単位は dm³ なので、mol を出したい場合はこれらを掛け合わせればよい、と分かります。同様に、質量からモル数を求めたい時も、g が分かっていれば g mol⁻¹(relative atomic/molecular mass の単位)で割ることで mol が出てきます。慣れてくるとこれが自然と公式として体に染み付くかもしれませんが、無理に公式を暗記する必要はない、ということです。

導出できるなら覚える必要なし

再び化学の例になってしまうのですが、温度や体積、圧力に関する法則で Charles' Law や Boyle's Law など、いくつかの関係式がありましたよね?実際、自分自身これらのうちどれが何を指しているのか覚えていないのですが、試験で法則の名前を問われることはないので "PV = nRT" という式さえ覚えてしまえばここから全て導出できます。例えば、P と n を一定にして T を上げた場合、必然的に V が上がることになり、V は T に比例しているという法則が導けます。

語源を知ると覚えやすい

これは暗記量の削減というより、むしろ一見暗記量を増やしてしまっているように思われるかもしれませんが、知識を紐づけることで完全なる「丸暗記」より効率的に vocabulary を覚えることができます。実際に大学の生物学の講義で「へ~」と思った事柄を3つ紹介します。

  1. ジスルフィド結合
    最初にこの単語を聞いたときは「なんじゃそれ」と思い、覚えづらそうな印象を受けたのですが、よくよく考えると sulfur が二つ結合するので disulfide bond なのだということに気付きました。「いや、それなら『ダイサルファイド結合』でしょ!」と突っ込みたくなりますが笑

  2. リソソーム vs リボソーム
    日本語だとこの二つは一文字違いでごっちゃになってしまいそうですが、英語で書くとそれぞれ lysosome と ribosome となり、違いがはっきりしました。"lys" には「分解」という意味があるので(hydrolysis = 加水分解、electrolysis = 電気分解など)、そこからリソソームは分解することが主な仕事なのだと記憶できます。

  3. アルデヒド
    CHO が末端に付く organic compound を aldehyde と呼びますが、実はこれは CH₂OH から H を二つ取ることで生成できます。OH group が付いているのは alcohol なので、そこから hydrogen を取る、つまり alcohol を dehydrogen することで得られるのが aldehyde、というのが語源になっているらしいです。この背景を知れば、alcohol の oxidation の反応も忘れなくなり、一石二鳥です。

言葉より視覚的にインプット

続いて物理の例です、SL範囲でこのような公式が出てきます:

文字が多く、やや複雑な公式になると、それぞれの文字が何を表しているのか分からなくなりがちです。上に示したようにそれぞれの文字に説明をつけても、まだ少しイメージが湧きにくいと感じませんか?そこで、このように公式を視覚化するとより覚えやすくなると思います:

Figure 1. Double slit interference formula diagram

通常、d は mm や cm のオーダーで、D は m のオーダーであることが多いので、大きいほうが D と結び付けると分かりやすいかもしれません。

また、下の図のように情報を表で整理するのも、文章に比べて視覚的な理解が促進されるのでお勧めです。

Figure 2. Single and double slit interference patterns with different slit width

アウトプットこそ最強の勉強法!

授業で習ったり、教科書を読んだりして分かったつもりになっていたのに、いざ問題を解こうとしたら答えが分からない…という経験はありませんか?試験に限らず、TOKや志望理由に関しても言えることですが、一度口に出すなり、何かに書くなりして言語化してみないと自分の考えがしっかりまとまっているのか確認ができません。そのため、勉強というとインプットに意識が行ってしまいがちですが、実はアウトプットも同等に、あるいはそれ以上に重要です。ここでは自分自身が特に効果的だと感じたアウトプットの形式を二つ取り上げます。

Past paper の活用

冒頭で軽く触れましたが、Mock や Final に向けた準備には past paper を解くことが最も効率的だと思います。IBの past paper の数には限りがあるので、必ずしも実際の試験問題でなくても、Language A であれば自分でテクストを見つけて分析したり、Math であればそれ以外の練習問題を解いたりすることで演習を積み重ねられます。単純に各科目の内容の勉強になるだけでなく、時間配分をどうするべきか、解答欄をどのように使うのが効果的か、手の疲れ具合がどうなるかなど、実際の試験で重要になってくる要素が鍛えられるので必ず取り組んでおくべきです。

他の人への説明

下図のような「学びのピラミッド」を見たことがある方は多いのではないでしょうか?

Figure 3. Learning pyramid(キャリア教育ラボ より引用)

まさにこれが示す通り、他の人に教えるということは最も学習が定着する方法なのです。学校で実際にお互いに教えあうのも良いですし、必ずしも誰かが空いている時間を探さなくても、自分自身で他の人に教えるつもりで内容を整理したり、うまく説明できるか試してみたりするのも効果的です。

スケジュール立ては案外重要!

累計で同じ勉強時間をこなしても、いつどれくらい勉強するかによって試験での出来は大きく変わってきます。対策しなければならない科目数が多く、時間が限られている中、それぞれの試験で好成績をマークするためには戦略的に勉強のスケジュールを立てる必要があるのです(個人的にこれはかなり重視していました)。

例えば、去年の Mock のスケジュールはこんな感じでした:

Figure 4. N22 mock exam schedule

恐らくほとんどの人が前日はその翌日の試験に向けた勉強をしたい、と思うはずです。これは自然なことなのですが、Mock の場合は一週間にみっちり試験が立て込んでいるため、翌日の試験勉強だけで精いっぱい、という状況になりかねません。しかし、そうすると最終日の科目は5日間ほど放置した状態で臨むことになってしまい、これでは覚えていたはずの内容を忘れてしまっていたりする危険性が高まります。つまり、この場合だと Chem や Geo の内容を水・木あたりで復習しておく必要があるということです。また、課目によって必要な勉強時間は変わってくるので、例えば Jap A に費やす時間を短めにして、その分 Math AA の対策を重点的に行ったり、後半に備えて Geo に手を付けたりする、という工夫も可能です。さらに言うと、ある程度の暗記量がある科目は直前の復習が効果的だったりしますが、数学や化学の中でも stoichiometry などは一度しっかり身につけられればすぐには忘れないはずです。そのため、早めに Math AA をばっちりの状態にして、試験期間はむしろ他の科目に時間を充てる、という作戦も考えられます。人それぞれ合う方法は異なると思うので、ここに書いた内容は参考程度に、自分に合ったスケジュールを検討してみてください!

また、Final は Mock や定期試験とは異なり、試験期間が長いのが特徴です。これは、スケジュール的に密度が低く、各科目の準備時間をある程度確保できるということにもなるのですが、裏を返せば勉強のスケジュールをどれだけうまく組めるかが非常に重要になってきます。特に後半の試験があるのは Final 期間に突入してから2週間以上経った頃になるので、前半の科目とは全く異なるタイミングにピークを持ってくる必要があります。基本的な方針は Mock を例に説明した通りなのですが、より一層意識を高める必要がある点は頭に入れておいてください!

リクエストを送るには?

ここまで読んでくださりありがとうございます!
皆さんのコメントはとても励みになるので、ぜひ積極的に残していってください!
毎度のことですが、何か聞きたいことがある方はこちらの Google Form から匿名で送信いただけます。質問内容は受験やTOK/CAS/EE、IA/IO、定期テスト/Mock/Final についてでも、純粋に教科の内容でもOKです。皆さんが知りたい内容は積極的に記事にしていきたいと思うので、遠慮なくバンバン送っちゃってください

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?