恋のスクラブ3
登場人物
東野朝彦 マイペースな性格の男子高校生。しかし、南沢セナに恋心を抱く。
南沢セナ 明るい性格の女子高生。東野朝彦を元気づける。
俺はもう逃げないと誓った。
これからは南沢セナを守ろう。たとえ二人を引き離す何かがあっても。
俺と南沢は大沢駅から徒歩で12分ほどの水族館でデートをすることにした。
南沢の黒く澄んだ瞳が綺麗だ。
「ねえ、クラゲ見にいこうよ!」
「おう」
俺と南沢は水槽の中にいるクラゲ達を見る。クラゲの種類に詳しくない俺は南沢に鼻で笑われた。
「タコクラゲっていうんだよ。可愛い!」
南沢はタコクラゲのフワフワと泳ぐ姿を見てはしゃぐ。
クラゲよりも南沢のほうが気になる。
クラゲ館を出ると次はペンギン館に入る。
よちよち歩くペンギン達を見て南沢がまたはしゃぐ。
「可愛い!」
「そうだな」
ペンギンの種類に詳しくない俺はまた南沢に笑われた。犬や猫の種類は分かるけどクラゲやペンギンの種類まで覚えられんな…。
「アデリーペンギンだよ!南極にいるやつ」
アデリーペンギン達が俺たちの頭上で泳ぐ。まるで本当に空を飛んでいるみたいだ。
アクリル越しにこちらを覗く一羽のペンギンがいた。
お前は餌が欲しいのか?それとも故郷である南極に帰りたいのか?
「行こうよ!東野君」
俺は南沢に手を引かれてペンギン館を出た。
カクレクマノミ、タツノオトシゴを見た後で俺達はシャチのショーを見た。
シャチといえば豪快に泳ぐイメージがある。
「可愛いね!」
南沢はスマホでシャチの写真を撮った。
シャチほど利口な生き物はいないだろう。
シャチのショーが終わると俺と南沢は水族館を出た。水族館から歩いて海に着いた俺達は季節外れの花火をした。
人気のない海は寂しい。
花火が終わると俺と南沢は砂浜を歩く。
「あのさ、東野君は何で…あの時あたしを庇ってくれたの?」
海から吹く風が南沢の長い黒髪を揺らす。
「俺は…」
答えに詰まる。どう答えていいのか分からない。
南沢が好きだから。
「お前の事が好きだから」
南沢が無邪気に笑う。可愛い。
「君はあたしの心を奪ったんだよ!責任取ってよねー!」
海に向かって叫ぶ南沢を見て俺は笑みがこぼれる。
世界中が君を独りぼっちにしても俺は違うよ。ずっと君のそばにいるよ。
南沢は靴と靴下を脱いで波打ち際ではしゃぐ。
子供かよ。でもそんな君が眩しい。
「東野君はあたしの初恋の人です!」
青春ドラマでよくやるシーンだよな。海に向かって叫ぶのは。
打ち寄せる波が南沢の足首を濡らす。
「冬の海って寒いね。なんか北極とか南極にいるみたい」
「ああ。なんか絵になりそう」
俺と南沢は手を繋いで冬の海を見ていた。
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