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働き方改革の敵は高倉健⁉︎

とあるうらぶれた居酒屋でおでんをつつく。懐かしい歌声が聴こえて来る。
義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界〜♪
そう。高倉健の唐獅子牡丹。

平成世代以降の若者には何のことやらなのだろうね。きっと。
でも、私ら昭和世代の人間には、日本刀を手に血まみれになりながら唐獅子牡丹を背負う高倉健の容姿がはっきりと瞼に張り付いているのである。

私もお正月の深夜テレビでみかんを頬張りながら手に汗をかきかき家族と一緒に見入ったものだ。私ら昭和の人間は必然的にこの唐獅子牡丹の影響を少なからず受けている。いや、多大に受けている。

そこでだ。
あーそうかと思う。
働き方改革の進行を妨げていたのは、これだ、これだ、これなのだと。

義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界〜♪

義理とは、社会生活を営む上で、立場上、他人に対して務めたり報いたりしなければならないことであり、まさしく仕事社会を中心とした社会規範である。
人情とは、人としての情け。他人への思いやりであり主にプライベート、即ち家庭生活を中心に発揮されるものである。

唐獅子牡丹が表現する義理が重たい、それも男の世界というのは、かつての滅私奉公を美徳とした男尊女子の世界であり、働き方改革など一ミリも入る余地のない由々しき世界なのである。

オヤジどものヒーローである高倉健が、壮大な影響力をもって唐獅子牡丹を熱唱したらものだからたまったものじゃない。

だから、昭和のオヤジどもは、あの高倉健の美しい背中を追いかけ、妻や子どもが熱を出してウンウン唸っていても、目の前の仕事を優先するのである。

だから、こんなにもコミュニケーションが不能で頑固な家庭を顧みない足の臭い親父どもを量産してしまったのだ。働き方改革など進むはずがないじゃろ!今すぐ唐獅子牡丹は断固放送禁止にすべきである!

という想いをふくらませながら、そういうオヤジのひとりである私は日本酒を話し相手に灯紅の巷に沈淪していくのであった。

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