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ディグ日記 番外編 関西に大手レコード専門店が進出

3月9日、ツイッターのフォロワーでもあるてるのしん様とミナミのレコード店にディグりに行きました。

好調なレコード市場

00年代後半の日本のレコード市場の冷え込み、先日もnoteに書きましたがなかなか酷いものでした。

2009年、引越しを機に最後まで家に眠っていたレコード25枚ほど中古レコード屋に持って行ったところ、なんと0査定…結構いいのあったと思うんですよ。たぶんネヴァーマインドやケミカルのオウンホールのオリジナルもあったはず。

値が付かないことをスタッフから電話で告げられ「どうしますか?」との問いに「じゃあ処分してください。」当時はデジタルメディアが主流、フィジカルは持たない主義だったので、引越しもあり処分と即答しましたが、今考えれば引き取りに行けばよかったと後悔しています。

そんなデジタル全盛時代に、独立資本系レコード店のサポートを目的に、2007年、年1回のレコードの祭典「レコードストアデイ(以外RSD)」がアメリカでスタートしました。

RSDは2011年に日本でもスタートし、アナログ特有の温かみのあるサウンドと絵画のように大きなジャケットが、無機質なデジタルの時代に「物」としての存在感が魅力的に映ったこともあり、若い人たちも巻き込んでレコードが再び脚光を浴びるようになりました。

そんな中、2015年にディスクユニオン大阪店が開店します。関東の中古レコード最大手が関西に初上陸し、定期的に行われるテーマ別のレア盤セールやRSDに多くのレコードファンが並び、関西のレコード市場が盛り上がる起爆剤になったのです。

レコード大手が再び関西を動かす?

2015年のユニオン大阪店開店以降、レコード人気の高まりを追い風に関西のレコード市場は着実に活性化して行きますが、2020年のコロナ禍を境に営業継続が困難になり、お世話になったレコード店が次々と閉業に追い込まれるという悲しい出来事がありました。

そんな中、大阪マルビルの老朽建替えにより、関西の音楽ファン憩いの場として長年親しまれてきたタワーレコード大阪マルビル店が2021年に閉業します。
コロナとは直接因果関係はないものの、ライブイベントの再開が難しくなっていた音楽エンタメ業界の背景事情も相まって、非常に寂しく、そして不安な気持ちになりました。

そんな寂しい大阪の状況とは裏腹に、日本の商業の中心東京では、大手チェーンのレコード専門店が渋谷にドンと店舗を構え、連日音楽ファンで賑わっています。そう、タワーレコードとHMVです。

去年の8月、妻と東京旅行に出かけました。妻の勤務先の本社挨拶の合間に単独行動、私は当然レコード店へ。

こちらはTOWER VINYL SHIBUYA。メンバーのサイン入りポスター展示なんかも東京だけ。NU茶屋町にもサインしに来いよ。

こちらはHMV record shop渋谷店。手書きのポップと木製ラックが手作り感あって、海外のインディショップな佇まいがいい感じで好きです。

ね、このように大手チェーンのレコード専門店は全部東京だけなんです。関西在住の身としては、いつも東京の店舗で行われるイベントや、楽しそうな様子を指をくわえて見ているだけで、本当に辛いんですよね。

ところが、そんな大阪にも光が差す時がやってきました。2024年3月、2大チェーンのレコード専門店が遂に大阪にオープンすることになったのです。
HMV record shop 心斎橋が3月8日に、引き続きTOWER VINYL梅田店が3月30日にオープンします。この大手2店舗が、近年寂しさもあった関西のレコード市場を大きく動かしていくことでしょう。

ツイッター上で音楽の話で交流してるてるさんと、HMV record shop 心斎橋の視察も兼ねて一緒にディグることになったので、オープン翌日の3月9日、心斎橋OPAの8階へ向かいました。

てるさんとの待ち合わせは12時。ツイッターではよく喋っているけど初対面、ちょっと緊張。

その緊張を解きほぐすようにフォロワー様の1人が現れます。彼はウィルコのライブのために8日に山口から大阪に来ており、開店ホヤホヤのお店の様子を見に来たのです。もちろん昨日も会場で会っています。ホントによく会うよね。

ほどなくして、待ち合わせの目印となる装着中のヘッドホンのカラーを知らせるDMが届きます。挨拶を交わし、早速一緒にディグることに。

①HMV record shop心斎橋

さすがに開店2日目、なかなか気合いの入った品揃えです。入口近くからの店内を見るとこんな感じ。鳥山先生を追悼する壁陳列になっていました。

早速いいの見つけました。PILの「ライブイントーキョー」なかなかのお手頃価格。ラブレスはリイシューでしょうか。

ワタシの大好物、地面に置かれた箱に入ったワンコインセールコーナー。通称「エサ箱」。ここによくお得な掘り出し物が入ってます。今回はソウルコーナーからケミカルIt Began in Afrikaの12インチ、ジャズコーナーからてるさんが掘ってくれたサラヴォーンウィズクリフォードブラウンを発見。どちらもワンコインなんてお得すぎませんか?

イラストレーターのさくらいはじめさんによるメインビジュアルを使用したコラボグッズがかわいすぎて、スリップマットもトートバッグもたくさん持ってるのに買ってしまいそうになりました。

ずっと探していたジミースミスのRoot Downを発見!しかしなかなかのお値段…こいつはスルー。

しかし、約5万枚の在庫、全部チェックするのはなかなか大変。他のショップに行けなくなるといけないので、気になるコーナーをサーっと見て、次のショップへ移動することに。こちらではケミカルとサラヴォーンとザバンドのステージフライトを購入。合計2,000円程度。

② PANPOT RECORDS

心斎橋OPAの裏口から北へ約6分、雑居ビルの入口にレコードを形取った看板が見えます。3階に上がりドアを開けると、奥へ長細い売り場スペースがあります。

しかし、てるさんは本当に音楽に詳しい。このショップに在庫があったSilver Applesというバンドを教えてもらいました。1968年、クラフトワークやカンよりも早く電子音楽に取り組んでおり、反復する無機質な電子パターンはなかなか尖った音でした。

こちらでは今までで一番お求めやすい価格でペットサウンズを発見。50周年リマスターを2,300円でゲット。

③DRELLA RECORD

次はそこから西へ9分、西区新町にあるネコの看板がかわいいDRELLA RECORDへ。

このショップは在庫も良いし、佇まいもかわいいのですが、はじめてだと何となく入りにくい(行ってみればわかります)。

てるさんと一緒にショップに入っていくと、店主が「お2人はお知り合いでしたか!」「はい、最近知り合いまして」

SNS経由で初めて人に会うというのなかなかハードルが高いもの。私は去年、フェスの現場でツイッターで知り合った多くの人々に会ったのでハードルは下がっていましたが、てるさんはこれが初めてだったらしく、ちょっと怖かったと仰っていました。てるさん、私と会う前に、女性だったら帰ろうと思っていたらしいです。

フジロックに行く少し前、トラブルが元でSNSを辞めた友人から人と会う時には十分気をつけるように忠告されていました。でも、私のフォロワー様はみんないい人で、今のところそんなトラブルになる心配はなさそうです。

しかし、てるさんはコミュ力が高い。私はレコード店に行っても一人黙々と掘るだけで、スタッフの方とお喋りすることはあまりないのですが、てるさんはよくお話をされている。これ、めっちゃ大事だなと思いました。私も見習おう。

④WAXPEND RECORDS

そこから南へ約7分、堀江の綺麗な雑居ビルの2階にあるレコード店。何本ものバナナが目を引きます。

下に目を落とすとブッチャーカバーが!やっぱりいいですよね、ブッチャーカバーのある風景。

こちらで気になったのは、ポリスのシンクロニシティの在庫が多かったこと。これ、確か90種類ぐらいジャケットデザインのバリエーションあるんですよね。まあそんなにはなかったですが、ジャケットのバリエーションは複数あったように思います。

おわりに

今回は4件回ってからパルコ地下の心斎橋ネオン食堂街で乾杯。

てるさんと私は歳が2つしか離れてないこともあり、聴いてきた音楽背景がかなり似通っています。当然時間を忘れて話し込む。どんな時でも聴けるアルバムや、アーティストの新譜を追いかけなくなった契機になったアルバムはどれかなど、あれこれ…

友人にも職場にも音楽の話できる人、本当にいません。できない場所で音楽を語ろうとは思いませんが、やっぱり音楽の話したいですよね。

これ、何人もの人にも言ってるし、何回かツイートしたと思いますが、音楽ファン、一体どこに隠れてるんですか?

ここのところ好調なSpotifyのプレイリスト#この世で最もいい曲集。作って曲追加を募ったところ、2日で共同制作者が上限である1000人に到達しました。これに関し、てるさんが「選挙出たら通るんと違います?」それはないわ笑

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