見出し画像

地方から見た、SaaSのここが問題だよね!ってポイント1つ

47都道府県旅行した結果、九州が好きすぎて熊本に移住したRさんと申します。今日は東京のSaaSベンチャーで仕事をしていたRさんが地方に引っ越した際に感じたギャップを1つご紹介して、SaaSってここが問題だよねというところを指摘したいなと思います。

画像1

サマリーを先に書いておくと、SaaSの現場の人が思っている人ほど地方ってそこまでSaaSの存在は浸透していないです。なぜそれが起きてしまっているかというと、経営側と現場側で大きな乖離が存在しているからだと考えられます。その乖離があることによってSaaSを広く浸透させることができず、いわゆる身内でわちゃわちゃして盛り上がっている感が出ているので地方とそこで差がつくのかなと思っています。

地方と都心の差

SaaSの界隈で仕事をしていると、もう世の中SaaSって当たり前なんだとか、知らない間にかなり使われているなとか、だいぶ市場取れてきているなって感じがちですが、実際に地方に転職すると世界観が違うくらい浸透してないです。個人的に引っ越してきて一番大きなギャップはここからでした。今まではずっとスタートアップとかテクノロジーの話とかM&Aとかの話が身近だったけど、そういう話をするコミュニティが東京ほど規模は大きくないので身近に感じませんし、そういう話を引っ越してからまだしたことがないですね。

あの有名なSaaS

テレビCMなどでも最近はSaaS系の会社が出す機会が増えてきました。ただ、CM出していれば有名かと言われたらそうではないですね。有名と思っていたSaaSも、SaaSの界隈から離れたらほとんど知られていません。業界にいたからこそ、その情報に敏感になってただけなんだなってことを知らされました。

ただ、サービス名とタレント起用しているところとCMの内容がそれぞれセットで覚えられていないケースもあります。また、Webサイト見せて「あーこれか」ってなる人もいます。もう少し身近なもので例えるなら、タケモトピアノのCMの存在は知っているけど、実際はピアノメーカーではなく中古ピアノの買取と販売の会社と知っている人は多少絞られるでしょう。イメージはそんな感じです。

また、実際にSaaSを使っている人がSaaSを使っているということを認識していないこともあります。日常に例えるなら、トランス脂肪酸を知らない人がスナック菓子を食べているような感じですね。おそらく自らの日常業務や事業の中心にSaaSがなく蚊帳の外状態になっているんだと思います。

ではなぜその差が生じてしまっているのか

もちろん義務教育にSaaSなんて言葉が存在しなかったと片付けてしまえばこのお話はおしまいになってしまうのですが、義務教育で一度も聞いたことないのに浸透しているものっていくらでもありますよね。キャッシュレスとか今の世代では学んでいるのかもしれませんが、我々より上の世代では義務教育期間中にキャッシュレスという言葉はなかったかと思われます。これだけ浸透しているのはマスコミもそうですし、マーケ戦略にも要因はあります。

義務教育でないのに浸透しているものとそうでないものがある、その一つ要因はSaaSの会社の経営サイドと現場サイドの乖離が著しいことが考えられます、経営サイドでは「日本にDXを浸透させる!」「日本のナントカリテラシーを向上させる!」って常にビジョンや夢を放つのですが、現場がやってることって「やべぇ商談数足りねぇ」「リードが少ないぞ、展示会だ展示会だ!」「インバンをもっと増やせー!」とかです。現場がリード数に困ったら共催セミナーでリードをシェアする、オンライン展示会を開催してリードを交換する、商談が少なければ電話でちょっと関係値できているところにかけて件数を担保する、そして「KPI達成わっしょーい!」してる状態です。ただ、これだけをずっと繰り返していたら狭いコミュニティの中でいかに取り合いをするかにしかならないのです。

スクリーンショット 2021-07-21 0.50.31

イメージは上記の図です。一言で言うならばSaaS界隈はこの青い円の中でひたすらやりとりを繰り返しているだけで盛り上がっているように見えて、赤い円のところ、すなわち関係値がないところは蚊帳の外状態になります。これによって差が生じてしまっているのです。

どうすればこの差をなくせるか

一番のポイントは、経営陣の放つビジョンと現場の動きとの乖離を減らせたらいいと思います。経営陣でビジョンが日本をこうするああするという方針を打ち立てるのであれば、KPIの落とし所を見直さなければならないです。特に日本の会社は企業の健全な経営かどうかをP/Lで置きがちですが、海外だと市場価値がどれだけ高いも日本のP/Lと同じくらい重要視されます。なぜなら市場価値が高ければ常に投資してくれたり買ってくれたりする人たちがいるので、最悪、P/Lでずっと赤字を垂れ流していても会社が世の中に価値ある仕組みを提供し続けている取り組みがあれば、存続できるのです。

身近で分かりやすい例でいくと、PayPayは分かりやすいと思います。PayPayは100億円争奪キャンペーンや、タレントを起用した「PayPayちゃうわ!」のテレビCMなどでガンガンプロモーションをやっていますし、営業マンも現地採用で富士山の頂上の山小屋でもPayPayが導入されるくらい強いセールス組織を持っています。これだけコストをかけているからか、営業利益は2019年も2020年もマイナスです。

これだけのことができるのはバックについているソフトバンクやヤフーの存在が強いからですね。SBペイメントサービスからの情報によると2019年と2020年の複数回の調査において、PayPayの認知度が81.9%となっております。


あれだけ派手にキャンペーンを回してようやくこの数字になるので、一般の国内のSaaSの会社が身内同士でやりくりしていたらこの数字は当然、ほど遠くなりますよね。

他にも有名なところで行くと出前館もそうですね。知名度はLINEリサーチによると87%ほど。損益も最終赤字が96億とかの赤字を出していますが、LINE社など大きな株主の存在があります。


特に今活発になっているのは、これが海外の投資家が日本の会社に参入してきて日本の平均株価を上げてきているということですね。今回のテーマでは話が脱線するので一旦この内容は置いておきます。

今あげた事例がtoC絡みもあるからそれだけお金を投資して、認知を広げないといけないのはもちろんあると思います、しかし、これだけ宣伝をかけていてもQRコード決済もデリバリーフードを使用したことある人もそれぞれまだ半分行くか行かないかぐらいです。


BtoBのSaaSでも、日本を変えるというビジョンを本当に実行するのであれば、これぐらい大胆に舵を切らないと前述の図の赤い丸を全て青い丸に染めることはできないですし、逆にP/Lを追っかける方に舵を切るのであれば、ビジョンもそれに沿って発信しないといけないと思います。特にこの記事ではP/Lを追うことが善だ悪だとかに関しては言及しないですし、それはそれぞれの会社の考え方や手持ち資金や会社のフェーズ、市場の大きさなどあらゆるバックグラウンドなどによっての手法を決めるのみだと思うので、その方針で決めたのであればしっかり舵を切ってやるのみかなと思います。

浸透させるための重大な意思決定

手っ取り早い話、現場の人は身内だけでわちゃわちゃするウェビナー全部やめて、飛び込みなんてせずに「これからの時代はメールと電話とオンライン施策だ!キリッ!」ってカッコつけて仕事するのをやめて、地方では根強い新聞テレビのCMと飛び込み営業に予算をガン回しして浸透させる、それで経営陣はひたすら投資家相手にプレゼンなどの手段を用いて資金調達に向かう、これがうまく回れば日本に新しい市場を作るという点では大きな舵きりになるのではないでしょうか。とはいえ明日からすぐできるようなものでは到底ありませんね。浸透させるってそれだけ大変なことなのだなというのは既にPayPayなどの事例からもお分かりになるかと思います。
もちろん会社は多様にあっていいと思うので、セールステックや働き方を極めた会社があってもいいと思います。ただ、現状はその働き方と市場を作っていくということは両立し得ないのではないのかと考えられます。

全国民が対象でないのであれば、マス向けの施策は空回りなのでは?

PayPayや出前館などは生活をする人全てが対象になりますし、営業かける相手はお店ですね。BtoBのSaaS系も様々な種類があるので、マス向けに打たなくてもいいのではと思う節もあるかと思います。

福岡ソフトバンクホークスの拠点としているPayPayドームがありますが、そこの看板を見てみるとSalesforceやIBMなど名だたるBtoBのビジネスを主体とした企業の看板がありますね。おそらく一般の人は日常の消費において、Salesforce製のこの商品を買おう、IBM製のこの製品を買おうってなることはなかなかないと思います。ただ、協賛することによって認知度のUPや、CSR活動、社員の採用活動における優位性、ブランディングなど様々なメリットを享受できます。実際の協賛動機は現場の人でないと分かりませんが、このような認知度や社会貢献活動などは企業価値を高める行為にもつながりますし、稟議通すときに知ってる会社からの決済依頼であれば、知らない会社よりかは信頼があるので通しやすくなるという観点はあると思います。

また、BtoBではないですが関係ない人も知っている身近な例でいくと、ドモホルンリンクルとかも有名ですね。公式サイトによると国内認知度は96%もあるそうです。

https://www.saishunkan-recruit.com/number

実際に使われるのは年代を重ねた女性がコアターゲットで、おじいちゃんや若い男性には利用シーンとは縁がないと思われますが、あのCMはやはり耳馴染みがありますし知ってる人は多いと思います。これだけ知名度があるとブランドに対する信頼に置き換わりやすいという観点はあるのかなと考えられます。

SaaSが浸透することで

SaaSの仕事をやってから地方に来て大きな違和感は2つありました。

一つはこのQR決済です。家の近所にある個人店でPayPayが使える店が5件に1件くらいの頻度でしか見当たらないし、店員との駆け引きを繰り返す後に奥からQRコードが出てきたなんて店もあるくらいです。

もう一つはビジネス関係のウェビナーです。地方のような蚊帳の外の立場に立ってSaaSの動向を見ていると、どうも現場担当者の欲求を満たすためのものに見えてしまうんですよね。

この2つの違和感を言語化できないかと思い今回のnoteに書き起こした次第です。個人的にはもっとSaaSが浸透して世の中が便利で豊かになってそれを土台に人々が幸福と自由を追求できるような世界に近づいてくれれば嬉しいなって思ってちょっと意見させてもらった次第でした。なので、色々意見は書きましたが私自身はアンチSaaSでもなんでもなく、むしろこのnoteはSaaS市場拡大するのを側から見ているだけのただの旅好きの人が書いたnoteなので、SaaSの世界を客観視するとこんな感じで見えるのかという一つの参考として見てもらえたら嬉しいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?