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[擬態人Aに学ぶ]子どものココロのほんとのトコロ

本企画の趣旨

本記事は、別冊少年チャンピオンで連載中の「擬態人A(作:渡辺アカ)」を題材に、子どもの心について学んでいくことが目的の企画です。現在子育て中のお父さん・お母さん、児童心理を学んでいる方々、そして本作のファンの方など幅広い方に読んでいただきたい内容となっています。

さて、あなたの家庭での振る舞いについての質問です。

  • 子どもの前で夫婦喧嘩してませんか?

  • 何気なくパートナーへの文句や悪口を子どもに言っていませんか?

それら全部、お子さんは理解してますよ。2歳や3歳などの幼児期において、子どもはどの程度周囲のことを理解しているかご存知ですか?夫婦喧嘩の最中につい口に出てしまった「実家に帰る!」という言葉。子どもに聞かせた覚えがない「引っ越し」の話。まさか理解していないだろう、聞いていないだろうと思って何気なく家で話していたことのほとんどを子どもは理解しているんです。

漫画「擬態人A」からの引用

母親を義父に殺されてしまった”たつる”は、大佐から生かしておく代わりに守るべきルールを課されることになる。①逃げない、②バラさない、この2つ。その2つを守れば、毎日の食事も、雨風をしのぐ家も、父親からの虐待のない生活を保証してくれると大佐は言いました。一人で生活していくだけの力のない”たつる”にとっては願ってもない条件でしょう。しかし頭では分かっていても恐怖が勝ってしまう。それは仕方がないですよ。”たつる”は一瞬逃げようと試みます。

擬態人A(第1巻), 2022 , 渡辺アカ, 秋田書店

しかし、最終的には逃げることを思いとどまりました。自分が殺されてしまうだけでなく、助けを求めたおばちゃんも殺されてしまうと他人への配慮をすることを選んだわけです。未就学児がそのような行動を取ることができるとは驚きですよね?

擬態人A(第1巻), 2022 , 渡辺アカ, 秋田書店

専門家の見方はこう

乳幼児期の発達に詳しい東京学芸大学の岩立京子教授によると、子どもは言葉を理解するほうが、話せるよりも先だと仰っています。ふだん、口にしない言葉でも、その意味をわかっていることがあります。さらに周囲に雑音があっても母親や父親、保育園の先生など、その関係がよく、自分が信頼している人の話は、しっかりと聞いているそうです。誰の言葉に耳を傾ければいいのか、子どもは知っているのです。さらに言葉本来の意味がわからなくても別の力で内容を理解するといいます。「“その場の雰囲気や、感情を読み取る力”もあるんです。そうした『情動』と『言葉』の理解で大人が思っている以上に会話の内容をつかんでいるんです」

専門家からのアドバイス

では子どもがいる時の会話では、どんなことに気をつければいいのでしょうか。岩立教授は注意点を2つあげています。1つ目はネガティブな言葉を避けることです。「ネガティブな言葉は自己評価も低くなり、『優しいね』といったプラスの言葉をかければ、思いやりのある行動をとるようになります」2つ目は、大人どうしの会話を大人だけのものと考えないことだといいます。「特に4、5歳にもなると、周りのできごとや社会のできごとに関心がでてきます。言葉や状況の理解が進んでくるんです。自己評価にも子どもは敏感です。それを自覚して、子どもがいる場所での会話に気をつけてほしいです」

まとめ

“たつる”は生死をかけた状況で大佐の話を理解し、さらには理解するだけでなく状況に応じて行動に移しました。彼がそのような驚くべき行動を取れたのは、そのような極限状態がそうさせたのではと考えがちですが、そうでもないようです。むしろ、子どもは普段から周囲の話を理解しているのです。先にご紹介した岩立教授は、子ども扱いすることなく、1人の人間として接することの大切さを話しています。優悟や大佐は宇宙から地球に来訪した異星人のため、いくら子どもとはいえいち個人として接しているように見えます。それは、子どもを何も分からない、守るべき存在としか見ていない我々に何か大事なことを教えてくれているように思います。

擬態人Aの第1話はこちらから読むことができます。本日8/12に別冊少年チャンピオン9月最新号が発売されました!現在コミックス2巻まで発売していますので、これを機にぜひお読みくださいませ!
http://arc.akitashoten.co.jp/comics/gitaijin/11

参考記事

https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/200/289356.html

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