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走らせてあげたいL子の話。2



さて、おっさんが中学陸上部の外部コーチに着任してひと月が過ぎた。

新1年生の様子を見つつ、距離感を探りつつ、日々楽しくやっているところ。

コロナ明けでどこかフワついていた子供達も少しずつ日常を取り戻し、見える景色もそれの前に戻りつつある。

ただ違うのは、競技場に入るときの体調管理シートの提出や、新しい生活様式の励行。

仕方ない。


そんなある日の部活終わり。

帰ろうとするおっさんにつかつかと寄って来るL子。

L子については↓↓をご覧ください。

https://note.com/girigiri_315/n/n9237318d362e


珍しく難しい顔をして、

「先生(おっさん)に相談ていうか報告があります。私、体育祭の応援団長になりました。だから準備とかで部活にほぼ来れません。どうしたらいいですか?」と…。

いやー、正直どうしたらいいですか?って言われても困ったが、


「L子がそう決めたなら、全力で団長をやりつつ、陸上はやれる時にやれる事をやろう。協力するし応援するよ。」

と伝えた。

すると、1、2秒フリーズした後、

「え?ウソ?マジ?マジで?あ、ありがとう!っていうかありがとうございます!よかったー!」

と相変わらずな言葉使いでそう言ってはソッコーで帰って行った。


部活が再開された6月初旬。

大会のキャンセルが続き、全く先が見えない中、学校は3年生の部活継続を任意とした。
陸上部は3年生13名のうち4名が引退を決めた。

残ったL子を含め3年生達は、目標が定まらない中、それでもやれることから始めた。

するとほどなく最後となる大会が計画され、不確実ではあるが全国に繋がる道も見えてきた。

そんな中、6月の終わりから体育祭の準備が始まった。

例年なら一般的な3年生は部活を引退している時期。

この時世がL子の計画を狂わせてしまったようだ。

まさかの最後の大会と応援団長のダブルブッキング。


きっとL子は悩んだに違いない。

「今やるべきこと」が何なのか。

最後の大会に向け、陸上に打ち込もう、打ち込みたいと思う自分と、応援団長をやりたい自分。

応援団長という役は陸上を後回しにしなければなし得ないこと。

そして去年からおっさんのコーチング継続を懇願し、今年それが実現したこと。


そんな色々な思いが後ろめたさとなり、おっさんの返事に

「え?ウソ?マジ?マジで?(いいの?)」

と言ったのだろう。
(おっさんに嫌味でも言われると思っていたのならコーチとしてまだまだだなぁ)←


コーチを引き受けた時に決めた事。

それはチャレンジする子供を絶対に応援すること。
そんな子供達を全力でサポートすること。

目標を立て、それに向かって努力をする。
自分の考えを持ち、それを人に伝えられる。
ひとりで無理なら多くの人に協力してもらい、それを具現化して進んでいける。

そんな人になって欲しい。

その手伝いをすること。
そして必要ならばその選択肢を示してあげること。

それが陸上であってもそうでなくても。


そんな折、土曜日の部活前に少し走ろうと競技場へ早く行った。

するとそこには既にひとりジョグをするL子の姿。

おっさんを見つけると、

「何してんですかー?!ちょっと早くないですかー?!」

と相変わらずの日本語。(まずは挨拶だろうがよ笑)


そんなL子の時間にもう少し関われるのは嬉しいことである。


楽しんでエンジョイ。


おわり

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