見出し画像

支援機関による中小企業の事業承継支援の可能性 ―事業承継・引継ぎ支援センターを中心とした支援の連携― 竹川 充(福井県立大学大学院)

前置き

筆者は中小企業庁が全国に設置する事業承継・引継ぎ支援センターで統括責任者を務める一方、福井県立大学大学院博士後期課程において、主に中小企業経営や中小企業の事業承継に関する研究を行っている。その為、中小企業における事業承継に密接に関わる立場から提唱する論文となっている。

要約

事業承継ガイドラインを見てもわかるが、中小企業に一般的な親族内承継が事業承継全体に占める割合が低下する一方で、役員・従業員への承継や社外への引継ぎ(M&A)が増加している。
このような状況で、筆者は2点課題を挙げており、それは「地域活性化」と「支援力強化」だ。
「地域活性化」に関して、福井県小浜市における小浜商工会議所を中心にした2021 年 4 月「小浜市事業承継ネットワーク」を例に、中小企業の廃業が地域に与える影響が大きい現状を解決する為の、地域の事業承継に関する課題解決に向けた取り組みの重要性を説いている。
「支援力強化」に関しては、金融機関・民間事業者・士業それぞれの支援力の強化だけでなく、 事業承継・引継ぎ支援センターを連携の核とした、官民の連携により事業承継支援をより活性化することにより、地域課題の解決・地域経済の活性化に繋げていく観点がますます重要となると述べている。

概要

中小企業における課題はある程度明確に存在する。
後継者不足とうたわれる現状であっても、役員・従業員への承継や社外への引継ぎ(M&A)が増加している現実は、環境があまり整っていない現状でもやらざるを得ない背景が見えるように思える。
「やらざるを得ない」ではなく、「進んでやりたい」と思えるような環境を、国や自治体筆頭に危機感を持って用意する事が必要だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?