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ゼミ論文 I社会的見地から見るうつ病

目次
1.現状
2.背景
3.目的
4.社会意義
5.先行研究
6.考察
7.参考文献

1.現状

「うつは心の風邪」とされていた以前までの価値観は近年変化しつつある。特に新型コロナウイルスが与えた社会情勢の変化は、うつ病を初めとした心の病を患う人々に対して非常に深刻なダメージを与えた。それだけにとどまらず、うつ病における様々な種類の発見やそれに起因して起こる多方面への影響の理解も進む事になった。
うつ病に罹患する人々は、自分自身の気持ちの持ちようによって物事を深刻化させているワケでは無く、自分自身を取り巻く環境や社会的情勢が影響してうつ病を発症している。
そのことを理解した上で、今後私達が必要になってくる行動は、「うつ病への理解の増進」と「社会的見地という観点から見たうつ病へのアプローチ」が必要になると考えられる。
 うつ病への理解やうつ病治療に関しての文献を読んで分かった事として、うつ病を治療する上で必要な治療薬は様々あり、それぞれに効能が存在している事。また、多くの図を用いて、それぞれの症状に関する効能があるのか無いのかを紐解くものがあり、一目で見てわかりやすく理解できるように書かれていた為、心理学的な観点から知識を深めることができた。また、日本国内で使用可能な抗うつ剤をリストアップして、それぞれの一日に使用可能な量を明記するなどしたうつ病に理解のない読者にもわかりやすい提示の方法は、日本と海外のうつ病に対する医学的アプローチの違いを理解する事にも繋がるだけでなく、日本以外のうつ病に関する文献を読む必要性を感じる結果を得られた。最終的に、うつ病の今後の形態が変化するだろうという見通しも書かれていて、うつ病は長い時間をかけて考慮していく必要がある事を理解する事に繋がった。

2.背景

現状において記載した「うつ病への理解の増進」と「社会的見地という観点から見たうつ病へのアプローチ」に関して、私は社会情勢を作り出す政治への理解が必要になると考えた。そこで、選挙行動や政治意識、他国(今回はフランスを取り上げた)の国際政治学はどのようなものなのかを学ぶ事にした。
 まず日本人の選挙行動について目を向けた文献を見ることにした。今回取り上げた文献の分析は日本の投票行動研究を踏まえた上で、さらに欧米の研究を踏まえている事から、分析を進めていくためのデータの収集にあたって大切な調査票の質問文の作成にこれまでの内外の研究が十分に生かされているものを選んだ。そこには、投票行動を規定する要因として考えられるものの具体例としては、有権者のデモグラフィックな属性・価値観・イデオロギー・政党支持・政治的シニシズム・選挙動員・候補者の認知及び評価・政治参加・経済状況・選挙の争点・政党帰属意識などが挙げられるとしている。数量的分析の方法に関する問題・選挙ごとの社会状況の違いやそれに伴なう争点の変化を、政党支持や投票行動の変動とどう関連づけていくのか・諸外国のデータと比較検討していく場合、欧米とは異なる選挙制度、政党構成がどのように日本人の選挙行動に作用しているのかなどの問題点が複数残されていながらも、その行動を分析する上でどのような手法をとればよいのかなどをはじめとして、様々な知見を広げる結果となった。
 他にも、島根県の政治意識に焦点を当てた文献を読むと、地域社会や近隣住民による社会というものが薄れなくなりつつある昨今、田舎とされる地域では地域の結びつきが未だに色濃く存在しており、島根県では結びつきが強いが故に選挙にも影響が出ていた事が理解できた。だが、近年の様々な政治的影響や、マスメディアによってそれらの影響が無くなりつつある現状も同時にあり、それが故に今後日本の政党は、意見の定まらない票に対していかにアプローチするかが大切になるというものであった。ここから私は時代に合わせた体制変換の重要性を再認識する事ができた。
 最後に、フランスにおける国際政治学を取り上げた文献を学んだ。そこで筆者は「アメリカ国際政治学の影響のもとに誕生しながら、よくその学問 的伝統をいかし、その国際的地位に立脚した研究体系をうちたてることによって、ついにはアメリカ国際政治学を批判するまでに成長しつつあるフランス国際政治学の例は日本国際政治学が他山の石とするに足るものであろう。」としている。このように、フランスの国際政治学を通して、我々日本国際政治学が成長する方法のカギと必要性について述べていた。ここから私自身も、フランスの独自性を重要視する国の方針はとても素晴らしいと考えると共に、自らの知見を高める事ができた。

3.目的

心の病を煩っている事によって実りある日常生活を送ることが不可能になっている人々に対して、社会的見地からうつ病を紐解く事によって、心の病に対する適切な向き合い方の理解や、その人々が直面する社会情勢に対してどのような形に変化させていく必要があるのかなどをわかった上で行動できるような答えを提示する。

4.社会意義

社会的意義を明らかにするため、仮にこの社会的見地から見たうつ病への対処法や答えが出たと仮定する。それは今後の人類におけるメンタルヘルスの道筋の確立や、それによって起こる人々の労働においての意識の変化によって、世界全体の経済発展を見込む事ができる。

5.先行研究

まずうつ病とは何か、またうつ病の種類や対処法などを理解する必要があるとの考えに基づき、北西憲二・中村敬らの「森田療法で読む うつ その理解と治し方」、柏瀬 宏隆の「うつ病治療の課題」を調査した。その上で、社会的見地という観点から物事を見る必要がある事や、国内外における政治体制を理解する必要性があるとの考えに基づき、綿貫譲治 ・三宅一郎・猪 口 孝 ・蒲島郁夫らの「日本人の選挙行動」、山田 政治の「選挙にあらわれた政治意識:島根県の場合」、武者小路 公秀の「フランスにおける国際政治学」を調査した。うつ病に関しての基本的知識や日本における国際政治学の発展の方法、選挙を通して見る政治の選挙行動や政治意識に関して参考になったが、一方でより勉学の必要がある事として、うつ病を紐解く上で必要になってくる人口構造の変化、産業構造の変化による生活環境の変化といった大局的な社会変化、震災や領土問題など一時的な社会情勢の変化、といった局所的な社会変化などの分野における知見の拡大が必要であることがわかった。

6.考察

1996年には、約43万人だったうつ病などの気分障害の患者は、2008年には約104万人と2倍以上に増加している(厚生労働省の患者調査より)。また、年々増加傾向にあったうつ病という病気は、現在では新型コロナウイルスを機に罹患者が増大し、より症状や新型鬱を初めとした様々な種類に対する対処法が複雑化している。今後も増加し複雑化する見通しのうつ病に対して、医学的・心理的見地からの対応だけで無く、社会的な見地で対応していく事が求められると考えられる。そのことからも、社会変化に常にアンテナを張って知見を広げていく事が求められている。

7.参考文献

・うつ病治療の課題 柏瀬 宏隆
・日本人の選挙行動 綿貫譲治 ・三宅一郎・猪 口 孝 ・蒲島郁夫著
・森田療法で読む うつ その理解と治し方 北西憲二・中村敬 編
・選挙にあらわれた政治意識:島根県の場合
POLITICAL AWARENESS AS REFLECTED IN ELECTIONS:A Case Study of Shimane Prefecture 山田 政治 Yamada M.
・フランスにおける国際政治学 武者小路 公秀

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