見出し画像

36)新型コロナウイルス感染症の後遺症(Long COVID)とミトコンドリア

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術36

ミトコンドリアを活性化して体を若返らせる医薬品やサプリメントを解説しています。

【COVID-19の後遺症は多くの患者で認められている】

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染に由来し、炎症性サイトカインの放出や血栓形成によって重症化します。

COVID-19患者の多くが無症候性または軽度の症状で治癒します。しかし、そのような軽度の症状で回復した患者でも、感染の数ヶ月後にびまん性の多臓器症状を示すことが報告されています。

これらの症状には、倦怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛、息切れ、胸部圧迫感、嗅覚や味覚の障害、睡眠障害、脳にモヤがかかったような状態(Brain fog)やその他の神経精神症状(うつ症状や不安感など)が含まれます。

COVID-19の後遺症に関する最も早い報告はイタリアからの報告でした。この報告によると新型コロナウイルス感染症(COVID-19)143人の回復者のうち87%の人々が、60日後でも少なくとも1つの症状が持続していることが明らかになりました。32%の人は1つまたは2つの症状があり、55%の人は3つ以上の症状がありました。
 

症状としては、倦怠感(53.1%)、生活の質の悪化(44.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)でした。咳、皮膚の発疹、動悸、頭痛、下痢、しびれの症状もありました。患者はまた、不安、うつ病、外傷後のストレス障害などの精神的健康問題に加えて、日常的な日常活動を行うことができないことを報告しました。
(Persistent Symptoms in Patients After Acute COVID-19.JAMA. 2020 Aug 11; 324(6): 603–605.

このように新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染から数週間または数か月後でも様々な症状が持続する病状を表す用語として「Long COVID(ロングCOVID)」や「post-COVID syndrome(COVID後症候群)」や「chronic COVID syndrome(慢性COVID症候群)」や「long haulers(長距離輸送車)」などが使用されています。
 

診断基準や調査方法が各国で異なるので正確な有病率についてはわかっていませんが、3ヶ月以上にわたり症状が持続する人は5〜10%程度存在すると推定されています。


【コロナウイルスは全身の組織や臓器にダメージを与える】

 COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスは、体のさまざまな部位の細胞、特に肺や血管内皮細胞に存在する受容体(ACE2)に付着し侵入します。影響を受ける臓器には、心臓、肺、腎臓、脳、腸、膵臓の細胞などがあります。

新型コロナウイルスの感染した後に、体内では炎症反応を起きます。炎症はウイルスを倒すための反応ですが、炎症に伴うサイトカインと呼ばれる化学物質の産生により意図せずに自分の体の細胞に対して多くの損傷を引き起こしてしまいます。

さらにこのプロセスは血液を固まりやすくさせます。血栓が形成されると、臓器の一部への血液供給を遮断しより多くの損傷を与えます。

COVID19発症時や初期の症状が軽微であっても、体のさまざまな部位にダメージを受けている可能性があり、後遺症に繋がっている可能性があります。実際に、コロナ後遺症ではCOVID19の重症度によらず、持続的な症状を発症する場合があります。軽症で入院していないCOVID-19患者でも心臓、肺、肝臓への長期的な症状と臓器の損傷があることがわかってきています。


【Long COVIDは様々な機序で発生する】

 Long COVIDと同様のウイルス感染後の長期間の後遺症の存在は古くから知られています。インフルエンザ様疾患後の長期にわたる症状の説明は、女性の権利運動家であるジョセフィンバトラー(Josephine Butler)が、ロシアのインフルエンザに感染した後の持続する倦怠感を訴えて息子に手紙を書いた1892年にさかのぼることができます。1895年、ロシアのインフルエンザに感染した首相を含む英国の政治家は、長期にわたる倦怠感と不眠症について記録を残しています。(Lancet. 2020 Oct 31;396(10260):1389-1391.)
 

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)や中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)などの最近のウイルス感染症でも、急性期後の長引く症状の持続が報告されています。SARS-CoV-1およびMERS-CoVの長期症状の系統的レビューでは、患者の約3分の1が、6か月までの長期の不安、うつ病、および心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいました。(J Rehabil Med. 2020 May 31;52(5):jrm00063.)
Long COVIDが発症するメカニズムは多彩です。複数の原因が複雑に関与しており、その要因や関与の度合いは患者ごとに異なります。
 

臓器損傷の程度、慢性炎症の程度と持続期間、免疫応答の程度や自己抗体の生成などが関与します。さらに入院や集中治療によるストレスや、治療薬や人工呼吸の身体に対する悪影響に関連する合併症、心的外傷後ストレスのような精神症状や体調不良、心理的問題も症状の一因となりま]。COVID-19の社会的および経済的影響は、心理的問題を含むCOVID後の問題にも寄与しています。どの患者でも、複数のメカニズムがLong COVID症状の一因となる可能性があります。(下図)

画像1

図:新型コロナウイルス感染症の後遺症(Long COVID)は様々や要因で発生する。ウイルス感染や炎症反応による組織・臓器のダメージだけでなく、治療に伴う副作用や相互作用、併存疾患の存在、免疫異常、他の感染症の発症、長期入院やICU治療によるストレスや治療による影響、精神的要因など多くの要因が複雑に関与する。


【Long COVIDの治療にミトコンドリア活性化が役立つ可能性がある】

 コロナ後遺症(Long COVID)についての根本的な解決方法はまだ見つかっていません。発症要因が複雑で多彩なため、一つの治療法では解決できないと言えます。

前述のようにLong COVIDは単一の病態ではなく、人によって症状の種類や程度は異なります。そのため、症状に合わせて症状を和らげる治療やリハビリテーション、また症状とうまく付き合うためのアドバイスを受けて生活や仕事ができるように工夫するしかありません。
 

コロナウイルス(SARS-CoV-2)がミトコンドリアをハイジャックして、ミトコンドリア機能を障害することが報告されています。強い倦怠感の軽減にミトコンドリアの活性化は有効です。また、ダメージを受けた組織や臓器の障害の回復を促進にもミトコンドリア機能の活性化は効果が期待できます。Long COVIDの治療法としてミトコンドリア活性化は試してみる価値はあると思います。

画像2

図:新型コロナウイルスのSARS-CoV-2(①)が細胞内に侵入するとミトコンドリアにもダメージを与え(②)、ATP産生が障害される(③)。ミトコンドリアがダメージを受けると活性酸素の産生が増える(④)。ATP産生低下と活性酸素産生亢進は全身の組織と臓器にダメージを与える(⑤)。SARS-CoV-2は肺炎などの炎症反応を引き起こし、過剰なサイトカイン産生によってサイトカイン・ストームを引き起こす(⑥)。サイトカイン・ストームや酸化ストレスは全身の臓器にダメージを与え、血管内皮細胞の透過性亢進を引き起こして、急性肺損傷や急性呼吸窮迫症候群を引き起こし、さらに悪化すると敗血症や多臓器不全を引き起こす(⑦)。このような多彩な要因が重なって後遺症(Long COVID)を引き起こす(⑧)。ジクロロ酢酸、ビタミンB1、L-カルニチン、NAD前駆体のニコチンアミド・リボシドやニコチンアミド・モノヌクレオチドは、ミトコンドリア機能を高めて、ATP産生を回復する(⑨)。コエンザイムQ10、R体αリポ酸、メラトニン、水素ガスは酸化傷害を抑制する(⑩)。ミトコンドリア機能を高めることはLong COVIDの治療に役立つ。

体がみるみる若返るミトコンドリア活性化術 記事まとめ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?