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歌え歌え魔法の歌を!

 こんにちは、吟遊詩人の妙遊です。

 さて、昨日はレンミンカイネンという名の、フィンランドのイケメンの物語をしました。

 最後、ただの脇役かと思っていたママが、いきなり大地を揺るがす超スピードで走り出したところ、いかがでしたか。
 めちゃくちゃまともな事を息子に説教していたわりに、母のやる事が一番とんでもなかったな……としみじみ感じ入る物語です。

 レンミンカイネンの母、母としかでてこないので名前教えてほしいですね。
 もしかしたら母の概念なのかもしれない。大地母神は最強なのだ……

 レンミンカイネンのお話は、フィンランドの叙事詩『カレワラ』からです。

 そもそも2月28日がカレワラの日。
 カレワラの日を祝おう!カレワラハッピーバースデー!!(2月28日はカレワラの初版の刊行日)
 そんなわけで今回の配信とあいなりました。

 毎年2月28日になるたび、岩波文庫さんとかからの「カレワラの日」のお知らせを見て、「今日が当日か!しまった何もしていない!!」を繰り返しておりました。
 そして……今年できて良かった!!

 そもそも、ちょっと前に「カレワラの日になにかしよう!」的なことをツイートしてたんですよ。
 したらばnamiさん(北欧とケルトの音楽の手練れのお方✨✨)がコメントくださって、よし!頑張る!!と頑張れました。
 namiさん本当にありがとうございました!!

 で、その『カレワラ』。
 面白いんですよ〜!!中身が。
 レンミンカイネンのところは特に元気も良ければ威勢も良くて、レンミンカイネンが多少不良なところもね、イケメンなので許せる。

 そういえば『カレワラ』のなかのお話で、若い娘と「本人の意志を無視して」結婚しようとするおじいちゃんがいるんですよ。
 若い娘は、めちゃくちゃ拒んで挙げ句の果てに死にました。自殺かどうかははっきりしないんですが(ようわからん)雰囲気的には自殺なんですよね……可哀想すぎてなにもいえない。

 レンミンカイネンも同じく若い娘さんと「本人の意志を無視して」結婚しようとしましたが。あれは女性側が「若いしいい男だし、生理的に無理ではない。不本意ではあるが、死ぬよりはこの人の嫁の方がマシか」と、自死と天秤にかけたのだろうなぁと思います。たぶん。

 それにしても意志を貫く方法が「死」なのはすごい嫌ですね。やはりタイマンできた方がいいですね!レンミンカイネンの母ならタイマンで呪歌勝負とか……できそう。

 そしてクライマックスはなんといっても、よみがえり。
 忠告しまくっても言うこと聞かずに死んだ息子。それを生き返らせる母。
 ……なんとはなしに、師の忠告をムシしまくって死んだ晴明を、晴明の師匠が生き返らせてたのを思い出します(江戸時代の『安倍晴明物語』より)。
 子も弟子も勝手で未熟。だけど、可愛い。そういうお話ですね……。

 さて、物語の筋以外の魅力ですが。
 なんといっても無数に出てくる呪い歌ですね!魔法が普通に使われています。もりもりと!!
 ちなみに今回の語りはダイジェストなので歌は少なめでした。

 レンミンカイネン、神や妖精に歌いかけたりして、人ならざるものの処女も悩殺したりしてるので(お前は何をやってるんだ)彼の歌は本当に良いのでしょう。
 それにしても狩猟のときに獣を追い出す勢子のようなことを、人ならざる存在にお願いしてやってもらうの面白いですね。現実にやってたりしてたのかな?フィンランドの狩人さん。

 カレワラ。これからも深く知り、魅力を伝えてゆきたいものです。
 なにしろチラッと見た原文が美しかった!
 あれが歌えたらどんなにいいだろう!!

 その昔、『指輪物語』の作者トールキンも『カレワラ』に魅了されたようですが、同じようなことを考えたのかもしれない、

 そうそう、ちょっと補足をば。
 フィンランドの『カレワラ』に出てくる神話は、『エッダ』で有名なゲルマンの神話(いわゆる北欧神話)とは別物です。
 ゲルマンの方はオーディンやロキが出てきて、戦女神ワルキューレがやってきて、戦士たちがヴァルハラへ行き、やがて終焉のときラグナロクが来る……というアレです。
 どちらも面白いですよ!!


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