素敵なお隣さん
この地に移住してきてからというもの、決して広いとはいえない二階建てのメゾネットタイプのアパートに住んでる。
庭というほど立派ではないが、一階には4畳ほどの庭もついている。
一棟には、二世帯が住むことができて、壁を一枚挟んでお隣さんだ。
ここに引っ越してきて、もう4年目になろうとしているのだけど、その間にお隣さんが次々と入れ替わった。
玄関のドアをあけて、数歩で隣の玄関までたどり着くのに、お隣さんのことはほとんど知らないし、あまり挨拶もしたことがなかった。
去年の6月にお隣さんが引っ越して退去されてから、しばらく隣の部屋は空き状態が続いていた。
まだ赤ん坊の長女が大泣きしようと、嵐を呼ぶ幼稚園児が大騒ぎしようと、隣に気を使う必要がなく、まるで一軒家に住んでるかのように快適だったのは本当にありがたい。
夏も過ぎたころ、大きなトラックが横付けされて、いよいよお隣に引っ越してきた人がいることを察した。
うちは庭の前に、駐車場があって自家用車を置けるんだけど、新しい車のナンバーから東京からということがわかる。
「へぇ、こんな田舎にわざわざ東京から!」なんて妻と話なんかしてると、数日してお隣さんがお土産を持って挨拶にきてくれた。
僕らより少し若いご夫婦で、海外に住まれてたらしい。
その奥さんと妻の波長があったのだろう。
玄関先や駐車場で会って、立ち話してるうちに、ふたりはすっかり仲良くなって、奥さんは時々うちに遊びに来てくれるようになった。
あるときには、ご夫婦できてくれて、一緒に晩ご飯を食べたり、お酒を飲んだり。どんなに遅い時間になっても、玄関を出て5秒で帰れてしまうのはなんとも便利。
「うち、こどもたちがうるさいでしょう?」と聞いても、「大丈夫よ!」と明るく答えてくれるし、子どもたちも「おねえちゃーん!」とすっかり懐いてしまうほど、家族ぐるみのお付き合いになった。
お隣さんのおかげで、ここでの暮らしに楽しさがプラスされるようなったのは言うまでもない。
この場所に妻には友人といえる人がいなかったので、時々お茶に誘ってくれる友人ができたのは、僕としても安堵するものがある。
さすが海外生活が長いこともあって、日本人ぽくなくて言いたいことは言ってくれるところも、台湾出身の妻にとっては接しやすいんだと思う。
ご夫婦は結婚生活は、自分たちよりも長いけど子どもができないことを時々ぼやいておられた。
ある日、お隣さんにお茶に誘われて帰ってきた妻から「妊娠されたんだって!その話しだった!」とやや興奮気味に報告。
お隣さんと時々ばったり駐車場で会うたびにお腹が大きくなる様子をみながら、ドキドキワクワク。
うちの長男も大好きなおねえちゃんから「お腹に赤ちゃんがいるんだよー、触ってみて〜。」と言われると、目をキラキラさせて嬉しそう。
よその子どもに「お腹触ってみて〜」って、自分の大きなお腹を触らせてくれるなんて、そんな優しさってある?
長男も不思議そうに、お腹を触らせてもらいながら、「うわぁーー」なんて声をあげてる。みてるこっちはヒヤヒヤものなんだけど。
でも長男にとっては、貴重な体験をさせてもらってる。妹が生まれる時はまだよくわかってなかったから。自分もママのお腹にいたというのが、なんとなくわかったみたい。
予定日は11月の中旬らしいので、もういつ生まれてもおかしくないはず。
夜中に車がないと、妻と「ひょっとして・・」とか想像しながら、今夜に至ってる。
このアパートもさらに賑やかになるなー。出産祝いパーティやらなきゃな!出産祝いは何にしよう。妻の中ではもう決まってるんだろうな。
お互いにいつまでもこのアパートに住むってことはないだろうけど、ずっといい関係で家族付き合いができたらなと思ってる。
と、まぁ今夜はこんな話。
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