億劫を億劫で制して18キロ走った話

つい先日、友人からお誘いを受けた。
「おすすめの温泉銭湯に一緒に行かないか？」と。

目的地は練馬・桜台の久松湯。

バチクソおしゃれでキレイな銭湯。露天風呂は天然温泉。
しかもそれでいて「銭湯」なので価格も銭湯。税込470円。たまらん。

折しも大半をステイホームで過ごしたゴールデンウィーク期間の終盤。
旅行、テーマパーク、呑み会。どれも幻に消えた今年ならば、
せめてこのぐらいなら羽を伸ばしても、という気持ちが盛り上がってきた。

しかし「OK！行きましょう」と即答する心に一旦ストップがかかる。
その銭湯の場所。立地。
そう、練馬。

自宅は練馬からは遠く、電車で乗り換え2回、ドアツードアで約1時間。
旅感覚で楽しめればまだいいが、出発地も目的地も東京ではそうもいかず。
あまり長時間の電車が好きでない僕にとって、
1時間電車に揺られるのがちょっとだけ億劫でつい二の足を踏んでしまう。

どうしようかな・・・って思ってたところにふと天啓が降りた。
「そうだ、走って行くのはどうだろう？」

僕はあまり走りは得意ではない。
が、たまーに無駄に長距離を走りたくなることがある。
おおよそ年に１〜２回。
そしてその時は大抵、なにかしらの理由をつけて走るのだ。

ある時は板橋の日本酒と和牛の美味しい飲み屋に行く前に、
精一杯呑むために、先にカロリー減らす目的で走って向かった。

ある時はふと湘南の海風を感じたいエモエモ症候群にかかって、
ほぼ始発で平塚まで行って江ノ島までの海岸線を延々走った。

そう、突発的になぜかやるのだ。
普段はそんなに長距離も走らず、走るのが億劫で仕方ない性分なのに。

今がこの時じゃね？

まさに僥倖。億劫を以て億劫を制す。億劫ミーツ億劫。
そろそろ億劫がゲシュタルト崩壊してきた。
これなんて読むの？おっきょ？

そんなこんなで最低限の着替えと財布、
そして気づいたらスマホを充電するの忘れて電池もなかったので
（ここら辺で計画のなさを露呈）
充電池もラン用のバックパックに入れて、いざゆかん久松湯！

ちなみに、ランニングと言っても僕の場合はガチランニングでなく
知らない街並みを選んで、細かく歩いたり走ったりを混ぜて行く。
良く言えばタウントレッキング。
平たくいうとジョギング込みの散歩である。

グーグルマップによると目的地まではおよそ18キロ。

途中ハンバーガー屋に寄ってお昼を食べたり、
全く知らない街並みを選んでスナップを撮りながら歩いたり
疲れたらラジオトークでいろんな人のライブを聴いたりと
ランニングガチ勢が聞いたらブン殴られそうなフリーダムラン。

トイレ行きたくてでもこのご時世でコンビニも貸してくれないし
半分パニクりながらようやく公衆トイレを探し当てたり、
なんとなく聞いたことある地名だなと思ったら
昔お世話になった母校の近くだ！とわかったので
ちょっと遠回りしてン十年ぶりに行ってみたら
記憶と全然違う建物が現れて、変わったのは記憶なのか時代なのかと
ちょっとおセンチになったりとか
まぁいろいろ道中を堪能しつつ、3時間半ぐらいかけてようやくゴール。

誘ってくれた友人と合流して（友達は電車で普通に到着）ウイニング入浴。

昼下がりだったからか客もそこまで多くなく、広々と温泉を堪能。
残念ながらサウナは使用禁止になっていたものの、
天然温泉や炭酸浴、電気風呂に水風呂と
隅々まで堪能させていただいた。
とても癒された。ゴールデンウィークありがとう。

ただひとつ、本当に残念に思うのは
せっかく普段なかなか来ない地域の温泉に浸かったのに、
湯上りの一杯がいただけないこと。
コロピッピ憎い憎いと思っている昨今、トップレベルに憎さ炸裂。
結局、最寄りの駅の前にあったマクドナルドで
ベーコンポテトパイを食べて心の刃を納める。（安い刃である）

帰りは流石に電車。もう無理よ。

そんなこんなでギリギリなんとかゴールデンウィークを楽しく終えられた。
わが友人よ、お誘いありがとう。

で、ふと思ったのだが、
例えばちょっと中途半端に近い温泉銭湯に誘われていたら、
おそらくランニングで行かずに、電車を使ってただろうなぁ。

てことは、長距離町歩きランニングを楽しんだという
ゴールデンウィークの思い出も、存在しなかったんだろうなぁ。

なんというか、この知らない街をマップを頼りに楽しむ
町歩きランニング2021の機会を与えてくれたのが、
行くのをちょっとためらうほどの億劫に感じる距離感というのが
なんともヒネていて楽しい。

億劫を億劫で制することでプラスになるというのは興味深いし、
こんな組み合わせ、他にもあったら
劇的に自分の腰の重さが改善できる気がするのだけどなぁ。

腰の重さといえば、この翌日＆翌々日の腰から下は
疲労と筋肉痛でガッタガタでした。
普段から走らないとまぁそういうことになるわな。

お後がよろしいようで。