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僕はいままでこんなに長く続く影を見たことがない。砂利の上にどこまでも続く影が折れ曲がる。平凡な木の上を跨ぐように伸びていく。
黒色の服を着た女の髪の毛を通り 白い傘の先っぽをかすめ 影は伸びていく。

沈没してしまった船の船長はこう語った。 開くドアのように明かりが差し込んだとき 過去の自分の長い影が見える。その時ずっと向こうからこちらに向かって突き進んでくる塊があるんだ。そして時計を見る。

切迫した気持ちを抱いて 手首にカッターを当てて 血の雫が一滴ずつ湧き上がるのを見ている。ふわりふわりと湧き上がる。影が自分の後ろから消える。このままでいいのかこのままではだめなのか。 考えるより深くカッターの刃は切り込む。

ワルツの曲がいちにいさんと流れて 透けた肌がボタンの合間から見える。眠ったふりをしていたら 手にはパイプ爆弾を握り 群衆の中で幻のような会話を聞きながら 今日 僕は長い影になる

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