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あれからずいぶんと日が流れて
かつてはずいぶんと
寵児と持て囃された
俺かい 俺はかつてはホリエと呼ばれていた
今じゃ見ての通り 路上生活のしがない老人さ
あの頃は自分が老いるなんて思いもしなかった
老いぼれを海外移住するのが現実的でないと言うなら増税が現実的だろと当然の事を当然と言っていたさ 失うことはあっという間だってことはずっと後になって気がついた そりゃあ誰だってそうかもしれないが

仕事が駄目になるなんて 最初は仲間内の裏切りなんてあってもそんなもの俺には痛くも痒くもないと思っていたさ まさかあそこまでやられるとは 名義をほぼ全部移され会社も個人も秘匿財産も全部一夜で消えた その時あれだけ俺のことを持ち上げていた連中も一緒に消えた なにもかも砂上の楼閣だった 俺は焦りはしなかった そもそも裸一貫 そこから始めたのだ なにも恐れはしない ところがそうは行かなかった 家さえ失って 
アパートを借りたが 簡単に借りられると思った資金は借りることが出来ず 生活にさえ行き詰まった アパートの家賃を滞納し追い出され 行くところはなく 公園のベンチに寝た 財布には一千円 俺はもう路上生活者だった

かつて税金を払っていない路上生活者に保護なんて必要ないと 俺は書いた 今俺は税金を払えない これからどうなるかもわからない
わかるのは もうここでこの公園のベンチが俺の最後の住処だろうということだ
苦言を呈するなら 
今さらなんだが
あらゆる評論家に言いたい
人生は一度だ 
言いたいことは忖度なしに
金の方を向かず 言う
それが今俺が言えることだ

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します