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詩)三軒茶屋 ちゃんぽん長崎

 

真っ赤に燃える日差し 三軒茶屋駅前のマックに若者が群れている不思議な光景を横目で見ながら 長崎ちゃんぽんを食いにいく

カウンターしかない席 隣の親父(僕もオヤジ)は発泡酒片手に爆発しそうな量のチャーハンをかっ込んでいる お洒落な帽子がかっこいい
僕の頼んだちゃんぽんはまだ来ない たまらずビールを注文

山本寛斎さん残念だったね しょっちゅう来てたのにね 雑誌、取材に来た? 街中華とかいう番組がさあ この先の松楽に取材に来てさあ がぜんあの親父元気になっちゃってさあ

ちゃんぽんが来た 丼からはみ出している 胡椒を振りとりあえずかき混ぜる
重い 
混ざらない
挑む
一口 二口
全く減らない
跳ね返されそうだ
余裕は全くない
胃袋に記憶
凄まじい量
減らない
テーブルには梅干し 
美味しそうだが手が出ない
冷房なんかない
カウンターの席は ど真夏
燃え盛る鍋を煽る火!

隣の親父曰く
昔に比べたら量が全然減ったよ
はあ。
返事もそこそこに
汗の洪水だ 全身だ キタナシュラン星三つの店らしいが もうそれどころじゃない 目の前のちゃんぽんと格闘だ
減らないのだ
汗 汗 汗
炎 炎 炎
必死に掘り込むのだ
味はわりと淡白なのだ
いいのだ
小エビが豪華に入っているのだ
白菜と豚コマも泳いでいるのだ
キクラゲももやしもたっぷりなのだ

若者が店に入って来た
ついつい来ちゃうんですよね ボリューミーだし

スープが甘くてさっぱり
肘からも汗が滴る

ああ、食べ終わった!
会計
外の方が
涼しいぞ。

祐治
おまえにも食わしたかったぞ



2020.8.広島原爆忌の日に
祐治は実弟 2019年7月に逝っちゃいました
うどん屋の店長でした。

2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します