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【読書前感情文】恩田陸『薔薇のなかの蛇』を読む前に

とうとう刊行された!!これほど待ちに待った本は初めてじゃなかろうか、というくらい待ち望んでいた恩田陸の『薔薇のなかの蛇』(講談社刊)が、ぐずついた天気でどーにもやりきれないこの2021年5月末に発売された!これは、本当に大ニュース!どのくらいの衝撃度かというと、星野源とガッキーの結婚発表くらい。

この本が書かれていることは随分前から知っていた。このタイトルは長らく、Wikipediaの「連載中の作品」のところに鎮座していたのだ。私が知らないだけで完結しているのでは?もう本になって文庫にも落ちているのでは?と確認してみては、まだだった…。と安心とも落胆ともつかない心境になったのは1回や2回ではない。

それもそのはず、『メフィスト』での連載開始は2007年だ。しかもこの作品、恩田陸作品の中でも1,2を争う人気シリーズ※の最新作に当たるのだが、前作の刊行がなんと17年前!「ファン待望の」というありきたりな惹句にも首がもげるほどうなずくしかない。

前作の『黄昏の百合の骨』の刊行当時、私は9歳とかそこいらで、もっぱら青い鳥文庫やら岩波少年文庫を読み漁って、読書がどんなものかを知っていく真っ最中だった。流石にリアルタイムの読者ではないが、それでも10年は待ったのだ。

もちろん、この期間の間にも本当におもしろい作品を沢山執筆されて、直木賞も獲って、ハチャメチャに大活躍されていたのを、それこそ首ったけで見てきた。大学生になり、単行本にも手が出せるようになってからはほぼ刊行と同時に新作を読んでいたので、その多作さと作風の多彩さは肌で感じていたのだ。(直近の『灰の劇場』(河出書房新社刊)は好みドンピシャだった。すごくカロリー高くてゼーゼーしながらの読書だったけれど、もっとしっかり読み込みたいなあ)
本当に、こんなに沢山のおもしろい話を、すごいなあ。これが1ファンとしての100%の本音だ。そんな中で、何回も読み返した大好きなシリーズの新刊が出たもんだから、これはもう騒ぐしかない!踊るしかない!本当にそんな感じ。

私が講談社のツイッターをフォローしていなかったという痛恨のミスにより、刊行を知ったのは発売日当日だった。しかし、日ごろの行いが良いからだろうか、刊行を知るのとほぼ同時に紀伊国屋新宿本店にサイン本があるという情報を入手。なんと、サイン本の取り置きの成功してしまったのだ!(本当は仕事そっちのけで講談社のツイッターを漁ったから)
どこにも行けない、行きたくない。そんな味気ない土日が薔薇色に染まる予感に、今から仕事が手につかない!早く紀伊国屋へ迎えに行かなければ……。

※理瀬という名前のスーパー美少女が登場する作品群。ファンや作者からは「理瀬シリーズ」と呼ばれたり呼ばれなかったり。理瀬ちゃんが主人公の長編作品は『薔薇のなか~』を含め3作。他にも共通の登場人物が出てくる作品や短編などもあるが、中毒性のある独特の世界観が超最高です。


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