見出し画像

60代以上の顧客へのポジティブな金融サービス対応

割引あり

 個人金融資産(23 年12 月末)は2141 兆円、過去最高を更新している。超高齢社会の進展も影響し、株式や投資信託の残高が増えているなど、高齢者の資産形成のニーズも多様化している。彼らのライフプランのサポート、ライフデザインの「見える化」ができるよう、ポジティブな金融サービス対応について解説した。

1 人生100年時代、貯蓄よりも投資へ

 総務省が5年ごとに発表している「家計構造調査(2019年)」によると、日本の家計金融資産(約2000兆円)の約6割を65歳以上の高齢者が保有している。55歳~64歳も含めると、全体の約8割を占める。
 これを家計が保有する現預金の額(1000兆円)にあてはめると、個人金融資産全体の約4割(800兆円)を占める規模である(※1)。日本では、株式や投資信託などの有価証券を保有する個人の割合が、全体の2割程度に過ぎず、長年にわたるゼロ金利下では、現預金をそのまま保有し続けても資産は大きく増えてこなかった。
 収入や資産が増えなければ、家計のお金は消費に回らない。
 消費が増えなければ企業の成長は厳しく、賃金も上がらないし物価も上げられない。このようなデフレ期間が長かった日本では、いいものが安く手に入ったため、多くの人は投資で資産を増やしていくことよりも安心で安全な預貯金を保有する行動をとってきた。ところが、ここ2年ほどで私たちを取り囲む環境は大きく変わってきている。

※1 日本銀行の最新発表「資金循環統計(速報)(2023年第4四半期)」では、家計金融遺産は2141兆円で現預金の割合は約52%だが、ここではわかりやすいように、家計金融資産を2000兆円とする。

ここから先は

5,810字 / 3画像

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!