見出し画像

コロナの置き土産

去年の3月、サンフランシスコは、Stay Homeの令が出て、映画館やモールは閉鎖、スーパーは定員制、飲食店はデリバリーのみ、とかなり厳しい生活を強いられました。公園も自由に陣取ることは禁止され、決められたエリアに少人数で利用する仕様になりました(サークルの中で少人数)。

画像1

外出は必要最低限、本当にスーパーくらいしか開いてないので行くところもなかったですが。私の通っていたESLもZOOM授業、1年間で使っていたファンデーションが2トーン明るくなったほど外に出ませんでした。

私は基本学生なので、家にいることが容易でしたが、飲食店で働いている方達は大変でした。従業員の方たちは手厚い休業補償があったようですが、オーナーの方はサンフランシスコの高額な家賃、維持費だけで相当なマイナスだと聞きました。

画像4

動きがあったのは去年の夏過ぎ。当時飲食店の室内飲食は禁止、ですが屋外での飲食は市からOKが出たのです。

屋外?

店の前やパティオ、そしてパークレットの利用です。パークレットについて、少し説明をしますと、

画像14

パブリックパークレットPubric Parkletとは車道と歩道の間(通常は駐車スペースになっている)に作られた休憩ポイント。公共の物は誰でも利用ができて、買ってきたどこの店舗のものでも飲食でき、読書やちょっとした休憩に使う人もいます。起源はここサンフランシスコで2010年に一号が設施されました。

画像5

パークレットは市が作るわけではありません。沿道の店舗や地域コミュニティ団体が設計してくれるデザイナーと計画書を書き、市がそのデザインがその場所に合っているか、もちろん安全であるかを審査して、許可を出します。それから店舗側が自費でパークレットを作成(地域のコミュニティに投資をお願いすることも)。自分の店舗の前であっても誰でも利用できるものを作るわけです。自費を投入し公的なものを作り、地元に貢献している感じです。

そしてこのコロナ禍において市がこのパークレットに目をつけました。沿道の店舗の要請に応じ、特別許可を出しました。つまり店専用のプライベートパークレットが誕生しました。

画像3


去年の夏からは屋外だけの営業、キッチンは屋内ですが、お客様はテラスとパークレットで食事ができるようになりました。

サンフランシスコは一年を通して、暑くも寒くもなくからりとした天候です。雨が少ないので、屋外の設備の傷みも少ないのです。

画像7


つまり、プライベートパークレット作戦はサンフランシスコにピッタリでした。パークレットが多く設置されてる地域では週末、車両禁止になるところもあり、大いに賑わいました。


画像7


歩行者天国が施行されると、さらに賑わいは増して、食べ歩きをする人、音楽を演奏する人、大道芸人と、レストランで飲食する以外の人たちが集まってきました。私もやたら、パークレットが並んでいる道を選んで犬の散歩に行きました。ずらりと並ぶパークレットは他の都市で見たことがなく、独特の魅力がありました。


画像8

画像11

去年のその当時の気持ちを思い返してみると、レストランで食事をしたい気持ちもあったけど、それよりもそれまでのStay Homeの令が厳しくて、

みんな誰かに会いたかったったんだと思います。


今年に入り、サンフランシスコはワクチン接種も進んで、新しい感染者は減っていきました。 


そしてついに6月15日に店内飲食の許可が降りて、レストランは通常営業が可能になりました。本来の経済が戻ってきたのです。

ですが、サンフランシスコ住人は、今までのコロナへの慎重姿勢をすっかりは緩めることはなく、風通しのいい(感染リスクの少ない)テラスやパークレットの席を選ぶ人が多かったのです(知り合いのレストランの方から聞きました)。寒暖差の厳しいサンフランシスコ、夏でも夜間の外は寒いですが ストーブを用意してパークレットで快適に食事できるように店側も工夫しています。

画像9


パークレット席が人気なので盛り上げる音楽も外に向かってのサービスとなっています。

画像10

今はサンフランシスコのコロナ感染者はそれほど多くはありません、ですがこの先、どうなっていくのかは予想がつかないですし、いつまた厳しい状況に追い込まれるかもしれません。それを踏まえて、行政が今月決定をしました。特別許可だったプライベートなパークレットを恒久的に認めました。感染予防だったパークレットが

サンフランシスコの観光名所になりました。

店側が設置するパークレットは益々手が込んだものが出てきて、横を通るだけでも気分が上がります。

画像12

画像13

パークレットは外から目立つので、そこでお店の魅力をアピールして、お客さんを呼び込める手段にも使えます。

画像15

換気で予防をしながら、本当に楽しそうなんです。

病害なんてない方が良いけれど、起こってしまってからの対応、サンフランシスコがそれをうまく昇華させた例の一つとして書かせていただきました。

私への影響は↓

画像14

ま、これは一時的な置き土産ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?