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「人生は暇」

 しばらく前に弟が実家に帰省していた。
 弟は一流企業に勤めていて、高収入で、既婚で、東京都心に住んでいる。弟と私は同じ家庭で育ち、学力や学歴も同程度だったが、社会人になってからはすごい差がついている。
 弟は、仕事のこと、会社の人や友人のこと、東京での生活のことなどいろいろなことを話してくれる。自分は、低収入で条件の悪い仕事をしていて、非常に狭い世界で暮らしていると実感する。何もかも違いすぎる。私の会社には夏季休暇がないという話をちらっとしたのだが、私の仕事は大企業の人には信じられないほど条件が悪いと思う。自分の仕事や会社のことについて話しただけで愚痴を言っていると思われそうだ。だからあまり言えない。

 その弟が「人生は暇やな」と言っていた。やりがいのありそうな仕事があって、東京都心に住んでいて、奥さんもペットもいるのに、休日など仕事以外は暇らしい。「打ち込めることがない」ということなのだろうか。ほとんどの人が羨ましく思うであろう生活なのに退屈なのか。不思議だなあと思う。

 ほとんどの人は、仕事や家事や育児などの「やらなければならないこと」だけをやっていると「暇・退屈」なのだと思う。「推し活」だったり、「動物愛護活動」だったり、いろいろあるけど、「打ち込めること」があると「暇・退屈」ではないのだろうと思う。会社員などの雇われる立場でなく、独立して会社経営などをやっている人も「暇・退屈」ではなさそうだなと思う。芸人やミュージシャンなど、好きなことを仕事にしている人も「暇・退屈」ではなさそうに見える。

 うまくいっていると言えない私も「人生は暇」かもしれない。

 

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