あんたは腹黒くて人間嫌い。
璃加子。あんたは全然いい子じゃない。頑張り屋さんでもない。勉強熱心でもないし、新卒の中で一番優秀でもない、出世するタイプでもない。よく気が付く新人でもない。コミュニケーション能力だってない。営業なんて向いてない。そもそも人に興味がない。
あんたは、あんたが、後生大事に抱えた自画像のような人間では、まったくない。
Photo : Miss Sloane
あんたは腹黒くて人間嫌い。ドライでプラグマティック。努力するのは人に劣る自分が許せないだけ。気を遣っているのは、気を遣える自分が好きだから。周りは全員ぬるく見えるし、目の前のクライアントの役に立つなんて、本当はどうだっていい。
それでいいんだよ。そこから始まるから。そこから見つかるものがあるから。いい子でいようとするよりもっと大事なこと、もっとこだわりたいことが、あるから。
まず手放す。あんたのその厄介な、「いつでも一番の優等生」というセルフイメージを、手放す。
あんたが選んだ仕事が、そうしてくれる。あんたに与え、問い、迫り、あんたの自己認識を刷新し続ける。あんたの20代は、生きるが働くだ。働いて生きて、生きて働いて、自分を刷新していく。めちゃくちゃ傷つくこともある。それでも変わっていく。
けっこういいと思うけど、どう。まあわたしは頼まれてもあんたの歳になんて戻りたくないけど。だってしんどいもん。
いい会社選んだほうだと思うよ。思ってた自分とはきっと違うけど、それはそれで興味深いよ。とりあえず、走れ。そのうち、景色が変わる。
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