見出し画像

7インチ盤専門店雑記421「デッドヒート?」

1971年の映画「デッドヒート」のサントラ盤7インチ・シングルの見本盤です。ポール・ニューマンが案内役となって、モータースポーツの魅力を紹介するドキュメンタリーということですが、残念ながら観ておりません。そんでもって、何でこの盤がアメリカンの「T」のアタマのところに置いてあったのか、あまり深く考えもせずに放置しておりました。まあ、レコ屋ですから、お客様がご覧になった後、必ずしも元の位置に戻してくれるわけではありませんから、時々整理しないと乱れ放題になって行くものなんです。ウチの場合、大きく「イギリス・欧州関連」と「アメリカその他」に分けて、ファミリー・ネームのABC順になっているはずなんです。同じアーティストのなかでは年代順になっておりまして、有名バンドの場合はメンバーのソロが後ろに置いてあります。

久々に整理しておりまして、この盤が目にとまり「おやおや」となりました。そう、ジェームス・テイラーだったんです。だから「T」のところにあって何の問題もないわけですが、何と申しましょうか、私には見えてないんですよ、この曲名が。

よーく見ると、「ファイアー・アンド・レイン」と書いてあるんですね。私は色覚異常、昔で言う赤緑色盲なんです。赤と茶色は全く区別がつきません。ピンクとグレーもダメですね。ほぼ同じに見えています。このスリーヴに書いてある文字、残念ながらほぼ識別できません。

スリーヴの裏側や折りたたんである内側を見れば何の問題もないわけですが、これがまた見本盤でして、レーベルに曲名が書かれていないんですよ。

まあ昔の曲ですからね。この盤も1971年11月頃のリリースです。スタンプ押しの白レーベル、そうそうあるものではありません。ウチの場合、ある程度以上の状態でないと置いてませんから、白レーベルでも印刷文字のものがほとんどで、こんなに古い盤の見本盤は希少だったりします。オークションなんかには出ていたりしますが、状態がよさそうに見えるものは少ないですからね。これはいつ頃入手したのか全く記憶にないのですが、状態が驚くほど良いわけで、もうそれだけでも貴重盤扱いになりそうです。

そもそもジェームス・テイラーの7インチ・シングルがどういうわけかレアなんです。ホント見かけません。オークションなどを眺めていても、たまに「きみの友だち You've Got A Friend」の黄色いスリーヴの盤が出ていたりする程度です。キャロル・キング作の人気曲「きみの友だち」は1971年5月リリースですから、オリジナル・リリースP-1060Wは400円定価です。これの状態のいいものであれば5,000円~10,000円弱といった相当高額な値札がつきますが、そもそもあまり見かけません。500円定価盤やレコード番号がP-109Wになった600円定価盤は時々見かけますが、これですら状態がよければ2000円~3000円程度してしまいます。

イチバン上の400円定価盤は撮影用に出してきたもので、売り物ではありません

それ以外ですと、むしろ超絶レアなはずのアップル・レコードからリリースされたデビュー盤収録曲「思い出のキャロライナ Carolina In My Mind」がたまに売られていたりしますが、もう冗談のようなお値段です。如何せん、ポール・マッカートニーがベースを弾いておりますからね。

「ファイアー・アンド・レイン」のオリジナル盤は、1970年夏のリリース、やはり滅多に見かけません。オークションでもたまには出ますが、とても手が出ません。どうしてこういうことになってしまったんでしょうね。ジェームス・テイラーのファンは皆さんお金持ちでLPばかり売れたんですかね…?

さて、問題の「デッドヒート」サントラ「ファイアー・アンド・レイン」、状態は頗るよろしいかと思います。加えて見本盤です。マトは1-A-3、400円定価です。レコード番号がP-1088Wですから、「きみの友だち」の少し後にリリースされたようですね。さあ、どう評価しますかね。

来年には久々の来日公演も控えているジェームス・テイラーですが、日本の7インチ盤の市場では、どういうわけか困った存在です。おそらくご本人も知らないことでしょうけどね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?