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7インチ盤専門店雑記405「3枚組」

12月8日はジョン・レノンの命日ですね。もう40年以上も経つのに、あの日、FENのニュースで驚かされた時のことが忘れられません。昨今の高齢になったミュージシャンの訃報とは違う衝撃がありました。それでもここ2〜3年の訃報の多さは、さすがに滅入ります。寂しくていけません。

昔、まだレコードがかなり高価なものだった頃、3枚組のアルバムを買うなどということは考えられませんでした。はなから諦めておりましたね。そんな高嶺の花の代表が「ウィングスUSAライヴ!! Wings Over America」でした。1976年リリース当時の定価は5,400円でした。2,500円とかいった値段の国内盤LPですらなかなか買えなくて、一生懸命輸入盤を探して歩き回っておりましたからね。

2枚組はそれでも時々買ったんです。3,800円~4,000円といったお値段でした。ディープ・パープルの「ライヴ・イン・ジャパン」やらエルトン・ジョンの「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」、レッド・ツェッペリン「狂熱のライヴ」あたりは頑張って買いましたよ…。ホント、かなり無理して2枚組は買いました。…でも3枚組は買えなかったなぁ。

「ウィングス・オーヴァー・アメリカ」の他には「ウッドストック」、「オール・シングス・マスト・パス」と「バングラデシュ・コンサート」の3枚組ボックス2タイトル、それからニッティ・グリッティ・ダート・バンドの「永遠の絆」…。どれだけレコード屋さんで手にとって眺めたことか。

1980年代後半、86年にCDが主要メディアになってから、アナログレコードのお値段が安くなり始めまして、88年89年頃には「ひょっとして買えるかも知れない」と思い始めたわけですよ。でも考えることはみんな同じというか、アナログレコードでいいやと思っている人々が2枚組3枚組を買うものだから、高額だった盤に限って品薄になっていたように思います。90年頃、ようやく「オール・シングス・マスト・パス」と「バングラデシュ・コンサート」は手に入れました。千円程度だったと思います。1枚ものが400円~600円程度でした。ブームが去ったばかりのフュージョンは200円で売られていることもありました。20枚とかまとめて買ったりしておりましたね…。

「ウィングス・オーヴァー・アメリカ」、とにかく国内盤でないとダメだったんです。輸入盤はあるにはあったのですが、角が丸くなっているブツが多くて、辛抱強く国内盤を探しましたよ。神保町のマーブルディスクで「オビなしなら600円でありますよ」と言われて、オビに興味のない私は、「ま、いっか」という顔をして買ったんです。内心滅茶苦茶嬉しかったんですけどね。帰宅して早速にカセットテープに録音して聴きまくりました。そしてジャケットの中からオビが出てきましてね。ビューティフル・ポスターもキレイなままついておりました。ラッキーでしたね。なんせジミー・マカロックが在籍した時代の貴重な音源でもありますし、ウィングスの絶頂期の記録ですからね。

一昨日の12月6日朝、ポール・マッカートニーの投稿で、もう一人のギタリスト、デニー・レインが亡くなったことを知りました。ウィングスがビートルズよりも好きだった自分は、デニー・レインも当然ながら大好きなギタリストでした。ほんの5日ほど前に売りボックスに投入した「ウィングス・オーヴァー・アメリカ」の写真をご覧になったか、6日のランチタイムにいらっしゃったお客様が「やっぱり今日はコレですよね」とおっしゃって、買って行かれました。もちろん予備に持っていた、新品のような状態のいい盤です。ヘッダー写真の3枚組ライヴ、オビは少々よれていますが、600円で手に入れた大事な大事な現物なんです。苦労してようやくゲットした盤は、やはり手放せないものですね。


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