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7インチ盤専門店雑記321「Snarky Puppyはお好き?」

スナ―キー・パピーはお好きですか?お店でもときどき訊かれます。私の場合、「まあ、聴くことは聴きますよ。時々お店でも流してます」といった回答です。でもねぇ、アナログレコードで聴きたいかと言われると「No」でしょうね。演奏は上手いし、新規性も感じます。見た目…絵的にも悪くないとは思います。でもね、飽きるんですよ。1時間も聴いていると、他の音楽が聴きたくなってしまうんです。お店の営業中に垂れ流しておくのにいいかなと思っていたんですけど、ついつい自分で他のものにチェンジしに行ってしまいます。

スナ―キー・パピー、ノース・テキサス大学の学生バンドが出自でしたね。マイケル・リーグというベーシストが中心でその他のメンバーは結構流動的なんだと思います。だからいろいろな楽器がリード的にメロディを主導していて、本当は飽きないはずなんですけどね。動画を観ていると、みんな結構上手いんです。そういう側面も含めて、嫌いじゃないはずなんですけどね。ジャズ誌の「ダウンビート」でもやたらと評判はいいですし、グラミー賞も何度か受賞していますから、世間的には評価は高いようです。

ライヴの在り方も面白くて、ジャズフェスなどでは普通のステージもあるようですが、選抜チームのようです。動画で紹介されているのは、広めのスタジオのようなスペースで、演奏者と観客が入り乱れてやっていたり、聴衆側はヘッドフォンで聴いていたりするのも面白いなと思います。生音が絶対という価値観を否定するわけでもないでしょうが、場所によってはバランスが悪いでしょうから、面白い試みだとは思います。私なら、どの席でもヘッドフォンは装着しないでしょうね。

言葉にするのが難しいんですけど、例えば「上手いね、でも他にも上手い人たちはいっぱいいるしなぁ」「音楽って上手い下手だけじゃないよね、何か足りない気がするんだよね」「音色の選択とかリズムも面白いよね、でもこれがスナ―キー・パピーの音だというものを考えると出てこないんだよね」「味が薄いよね」「色気が無い音楽なんだよなぁ」「アナログ盤じゃなくて十分だなぁ、この演奏のためにカネ出さないなぁ」…ここしばらく、複数のお客様と交わした会話がこんなところでした。

昔の愛聴盤とかとは全く違ったものさしで語るべき音楽なんでしょうね。もう残された時間が多くないかもしれないという感覚を持つ還暦過ぎは、「遠慮しときます」といったところです。まあ、そう言いつつ、お店では時々流しておりますけどね。好きではない音楽のことを書いても、お好きな方の気分を害するだけで、実に詮無いわけですが、最近やたらと「スナ―キー・パピーはお好き?」と訊かれるもので、とりあえず書いておきました。


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