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7インチ盤専門店雑記169「コルトレーンのバラード」
1969年にリリースされたコルトレーンの「Ballads」からの4曲入りEPです。年末の京都旅行中ですから、ゆっくり音楽が聴けるわけでもないのですが、「頭の中でこの辺が流れているといいかもな」などと思い、出かけてくる前に一度針を落とした盤です。年末の旅行中なんぞ、まったりしたいではないですか…。結局、A面3回、B面2回、針を下すことになりました。昔アルバムでさんざん聴いた盤ではありますが、7インチ盤はまた違った趣きがありますからね。
シーツ・オブ・サウンズとは違った方向性のコルトレーンのバラードは、初心者向けとは言われますが、ある程度の枚数を聴いた後に戻る盤としてもなかなかにいい味わいがあります。個人的には弾き過ぎのマッコイ・タイナーが好きではなく、意外なほど場をわきまえて叩いているようなエルヴィン・ジョーンズが好きになった盤でもあります。ジミー・ギャリソンのベースはツボを押さえてますね。目立たないですけど、貢献度は大きいと思います。
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「Say It」「You Don't Know What Love Is」「I Wish I Knew」「What's New」といったあたりの選曲です。個人的には「Nancy」が入っていればさらに評価が上がるのですが、この4曲でも十分に楽しめます。
ライナーは望月由美さんと言う方の追悼文のようなものですが、来日公演時の様子などが少し書かれております。目新しい情報を求めているわけではありませんが、こういった古いEPなどの解説を読むと、意外に発見があったりします。当然学びのネタは満載ですが、概ねジャズ本や音楽雑誌などに書かれていることですから目新しさはありません。でも古いレコードの解説を読むのは好きです。やはり当時でなければ書けない表現だったりしますから。
お店があるので毎日のように居る清澄白河、すなわち深川エリアも古い話のネタは尽きませんが、やはり関東大震災と東京大空襲で焼けてしまった町なので、実物の資料などは限られます。その点、京都は古いものやネタには強い町です。驚くほど町のあちこちに歴史遺構が転がっています。今更に観光名所的な寺社仏閣を巡るわけでもありませんが、知識を蓄えておけば、町歩きもまた一層楽しくなります。
ジャズの古い7インチなどをいじっていて、油井正一氏や岩波洋三氏の文章などを読み返すことは、意外なほど楽しいものです。こればかりは、いくら知識が豊富で筆が立つ若手のライターさんがいらしたとしても、敵わないのではないでしょうか。歴史遺構と接するような味わいすら感じております。50年以上の時を経て読まれるものは、こうあるべきなどと考えたりします。自分にとっては、下手な書物を読むより面白いものでもあります。
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