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7インチ盤専門店雑記156「アップセッター」

グランド・ファンク・レイルロードの「アップセッター」と言われて、パッと曲を思い出せる方がどれくらいいらっしゃいますかね?結構なファンでも「そんなシングルあったっけ」という程度の認知度ではないでしょうか。1971年の5thアルバム「E Pluribus Funk」からのサード・シングルです。丸い変型ジャケのアルバムですね。

ファースト・シングルは「戦争をやめよう」、セカンド・シングルは「フットストンピン・ミュージック」ですね。「戦争をやめよう」はヴェトナム戦争真っ最中にリリースされた反戦歌ですからビルボードで最高105位、「フットストンピン~」はファンも多い曲ですが、29位どまり、そしてヘッダー写真の「アップセッター」は73位どまり。低迷期と言われたアルバムでして、あまり売れておりません。アメリカという国では、「戦争をやめよう」みたいな反戦歌は、正面きってメッセージを打ち出すと売れないんですね。

「アップセッター」に関しては、シングル向きなのかという疑問もありますが、とにかく時代を強く反映した音、実際は全曲マーク・ファーナーが書いており、キーボードも彼が弾いて、彼が伝えたいメッセージをグランド・ファンク・スタイルで発信してみましたということなんでしょう。歌詞はセックスの虚しさを歌ったものというように解されていますが、どうも諸行無常的な感覚を不器用に歌っているのかと思います。まあシルヴァー・レインが空爆か否かという解釈の違いみたいなもので、どうとでも取れるように書いているようにも思います。

日本も最近またまた戦争する国に舵を切ったみたいですけど、今後は声高に反戦のメッセージを発信しなければいけないんですかね。ロシアのウクライナに対するいきなりの軍事侵攻が物語るように、何が起こるかわからない世の中、老後に音楽を楽しむのも純粋に趣味の範囲内というわけにはいかないんですかね。理不尽な軍事侵攻に反撃しないというのもあり得ないと思いますが、戦争回避に向けて最大限の努力はして欲しいですね。音楽なんて平和でなければ心の底から楽しめませんからね…。


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