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さらまわしネタ帳060 - カヴァーセンス

ヴァニラファッジというバンドはカーマイン・アピスとティム・ボガートが在籍していることで有名ですが、やはり最初の5年間、1966年から70年の間にリリースした5枚のアルバムですよね。…というか、シュープリームスのカヴァー「You Keep Me Hanging On」だけで評価されているようなところがありますよね。カーマイン・アピスはロッド・スチュワートのバンドに在籍しているときも、この曲をカヴァーしていますから、よほどお好きなんですかね?まあ、彼はソロ名義のアルバムでもロネッツの「Be My Baby」もカヴァーしていたりしますから、女性ヴォーカル・グループの曲がお好きなんですかね。おそらく狙いは意外性なんでしょうけど。

中古7インチ盤市場で見ると、「キープ・ミー・ハンギング・オン」以外のものは滅多に見かけません。たまに「ショットガン」があるかといったところです。「ショットガン」も状態のいいものは滅多に見かけません。「キープ・ミー・ハンギング・オン」はいくらでもあるという印象ですけどね。

先日、「愛が必要さ Need Love」という曲のシングルを見つけたのですが、極々普通のお値段でした。結局他を見かけないというのは、他の曲はあまり人気がないということなんですかね?でも、この「愛が必要さ」は状態も悪くないですし、第一音がいいというか生々しいのに驚きました。…時代の音ですね。サイケな時代ですが、アトランティックさん、さすがです。

これ、1969年の5枚目「ロックン・ロール」というアルバムからのシングルです。そもそも、この「ロックン・ロール」というアルバムがおそらく超レアでしょ。見たことありません。売れなかったから一旦解散に至ったんでしょうからね。しかしヒドいジャケット・デザインです。「愛が必要さ」のスリーヴ写真の方が、まだ時代の空気感があってまともな気がします。

お金かけたくなかったんですかね?

売り物の7インチ盤をクリーニングしてチェックするときに、A・B面しっかり聴きますが、時々はとばします。これも省略しましょうかと思いつつ、「ん?まてよ、この曲名は…」となって、一応針をおろしたところ…、やっぱりあれですか。「I Can't Make It Alone」、ダスティ・スプリングフィールドのカヴァーですね。ローン・ジャスティスのマリア・マッキーもカヴァーしてましたね。ギターはコード弾きするだけですけど、なんとなく好きなギターだったりします。そこでさらに思い出してくるわけですが、これ、ゴフィン=キングの曲でしたね。案外面白いところに目を付けますね、ヴァニラ・ファッジさんたち。

ところでオリジナルのダスティ・スプリングフィールドですが、60年代は随分人気だったようですが、私が音楽を聴き始めた頃には、人気が下火になっておりました。リアルタイムではろくに知りませんでした。後々「二人だけのデート I Only Want To Be With You」が彼女のソロ・デビュー曲だと知ってからは、少し聴きましたけどね。あのベイ・シティ・ローラーズがカヴァーしたことで有名ですが、ユーリズミックスの前身バンド、ザ・トゥーリストもカヴァーしておりました。

オリジナル曲のできとか、演奏テクニックとか、ミュージシャンを評するにあたってのものさしはいろいろありますが、どういった楽曲をカヴァーするかというカヴァーセンスも案外大事だと思います。


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