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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : ドルフィー

昨日はミンガスについて書きましたが、ミンガスといえばドルフィーという具合に芋づる式に聴きたくなります。タウン・ホールにも居ましたね、この男。ジャズを聴き始めていきなりフリーに行く人間はいないでしょうが、エリック・ドルフィーあたりを受け入れられるかどうかで、その後の行き先が変わってしまうような気がします。少なくとも私はそうでした。ドルフィー、ハマりました。バスクラの音色が美しいんだ。

ヘッダー写真のファイヴ・スポットでのライヴ、大好きでした。ここで共演しているブッカー・リトルは1938年4月2日生まれ、1961年10月5日没、享年23歳という若さで病死しています。当然周囲の人間は堪えたと思います。20歳で初リーダー作リリースというのは相当早いと思いますが、それほど注目されていたんでしょうにね。何だか地味な印象もあるんですけど。直前のTIME盤、ジャズ聴き始めの頃、無茶苦茶聴きました。

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エリック・ドルフィーは1928年6月20日生まれ、1964年6月29日没、享年36歳という、やはりかなりの若さでありながら、糖尿病による心臓発作でベルリンにて客死。望んでいたわけではないのかも知れませんが、何とも彼らしい死に方という気もします。

そもそも、彼の音には死の影があるんですよね。ミンガスと一緒にやる前にも、26歳で事故死した夭逝の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンのサイドメンとして活動していますからね。自分はどうしても若死にした連中特有の音があるように思えて仕方がないんです。死を美化するような感情があったりするんですかね。…正直なところ、分かりません。エミリー・レムラーのギターにも同じことを感じますから、何かしらあるとは思いますけどね。

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コペンハーゲン・コンサート、これも随分聴きました。ヨーロッパで人気があったのなら好きかもと思って予備知識なく購入したものの、日本人が好きそうという印象の方が強くて不思議な感覚でした。この盤でしか知らないミュージシャンが意外なほど上手いし、何だかコペンハーゲンの空気が感じられることは、その後ヨーロピアン・ジャズにかなりのめり込むとっかかりにもなりました。アメリカのジャズほど熱くなく、端正で美しいんです。ジャズの概念を修正されました。

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この盤も美しいといえば美しいんです。それまで聴いてきたハードバップとは違うものでしたから。ロン・カーターのベース音が好きになれないという知人がいたのですが、私はここで聴かれる音なら大好きですけどね。

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2013年にリリースされたこの別テイク集、「Muses」という未発表曲が1曲ありまして、その1曲のために随分高いお代を支払った記憶があります。それでも大満足でした。

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枚数限定の重量盤でして、制作には日本人が関わっていますね。どういう経緯でリリースされたかは知りませんが、ここらでドルフィー熱がピークを迎え、その後はドルフィーを含め、ジャズをほとんど聴かなくなってしまいました。自分もカラダを壊して、終わりを強く意識していた頃ですから、いろいろ感じることがあったように思います。日本人の死生観に何等か響くものがあるドルフィーのバスクラ、意識しながら聴くとまた違った美しさに驚かされます。

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また、アルバム「Last Date」の最後の語り、「When you hear music, after it's over, it's gone in the air, You can never capture it again」その瞬間、瞬間が大事ということでよろしいでしょうかね?この男の最期にあまりにも相応しい言葉という気もします。


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