7インチ盤専門店雑記231「来日公演は…」
ここのところ、ウェストコーストの音源にあたっており、ドゥ―ビー・ブラザーズあたりも聴いたりするのですが、いやはや音がいい。7インチ盤も素晴らしい鳴りです。「ドゥ―ビー・ストリート Takin' It To The Street」のイントロのベース、もう恐ろしくリアルな鳴りで、毎度もう一回聴きたくなるような素晴らしさです。「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」もイントロが鳴り始めた瞬間に引き込まれます。マイケル・マクドナルドも文句なしのヴォーカルを聴かせます。
この2枚の7インチ・シングルは特に素晴らしい鳴りでして、常備しておきたいものです。マイケル・マクドナルド加入後のドゥ―ビー・ブラザーズに関しては、絶対的にアナログに適した音なんです。初期もトム・ジョンストンの図太いギターの音はアナログで聴きたくなるものですから、ドゥ―ビー・ブラザーズ全般に言えることなんですけどね。とにかく、マイケル・マクドナルドの曲は、音の隙間が魅力なんです。ウォール・オブ・サウンドの対極の魅力、隙間の存在がデジタルでは無音になってしまって、各楽器の分離がよすぎることになり、不自然な鳴りなんですよねぇ。アナログだとその部分が凄く自然なんです。やっぱりアナログはいいなぁと思わせる代表的な音源です。
一方でボブ・ディランの発掘音源なんかも聴いているのですが、こちらはアナログでどうのといったものではありません。もう聴けるだけで有り難いお宝音源が、いつまでもリリースし続けられております。自分は70年代80年代のボブ・ディランが好きで、60年代は歴史的資料みたいな聴き方になるのでイマイチなのですが、上の写真のようにジョージ・ハリスンとジャムったときの音源などはもうお宝中のお宝なわけで、音質云々ではありませんな。しかもなかなかに興味深い演奏を耳にすることができます。
こういう音源こそ、資料的な価値で語られてしまうのですが、そして、猛烈な量の音源が詰め込まれているので(CD3枚組です)、一つの作品としてのパッケージは意識外といったところです。こういう音源をBGMにして作業をしていると、時々気になって曲目をチェックしたりするので、あまり捗りませんけどね。それでも至福の時です。
さて、ドゥ―ビー・ブラザーズもボブ・ディランも来日するのだとか。2023年になって、この辺の人たちのライヴが実現することは、「凄いなぁ」という実に他人事のような感想しか出てきませんが、70過ぎ80過ぎの円熟味というものを感じられるのでしょうか。自分はもう体力的に楽しめるとは思えないので遠慮しておきますが、ライヴに関しては、「若いころに無理してでも観ておいてっよかったなぁ」という基本的にもう終わってしまったことのような感覚です。
それにしてもミュージシャンという職業の皆さんは本当に体力がありますね。ポール・マッカートニーやミック・ジャガーあたりはもう神がかっているレベルですが、声を出すというのはそれだけでかなり筋肉を使う運動です。本当に信じられないほど体力を消耗するはずです。高齢の、すなわち長生きのミュージシャンが多いのは、やはりライヴで鍛えられてということなんですかね?歌う人は特に肺も強そうですからね。ロックをやるというのは、昔は不健康・不健全なことといったイメージがありましたが、最近はもの凄く健康的なことのように思えるのが面白いですね…。
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