見出し画像

7インチ盤専門店雑記129「大ヒット前」

REOスピードワゴン、1980年代にヒットを連発した、実にアメリカンなバンドです。ただ自分の中では70年代のライヴ・バンドというイメージが強いわけで、80年代のヒット曲から連想される甘さはあまり感じられません。いい塩梅でマイナーコードを使う、ノリのいいロックンロールは意外なほど個性的です。どこにでもあるようなバンドと思われがちですが、似たバンドはというといない気がします。リード・ギターのゲイリー・リッチラスは文句無しに上手い人ですが、ヴォーカルとサイド・ギターのケヴィン・クロ―ニンも意外なほど上手いですからね。個人的には、2人ともレス・ポール使いなので、音も好きです。

ヘッダー写真は1977年リリースのライヴ盤ですが、これがいいんだ。今となっては、ヒット曲が全然入ってないしょーもないライヴ盤ということになってしまうんですかねぇ。

しょーもないダジャレのタイトルを持つ78年の「ツナ・フィッシュ」あたりから少しポップになってしまうようですが、この盤も結構行けます。79年の「ナイン・ライヴス」が個人的には彼らのベストですが、新旧のファンから無視されているような端境期のアルバムです。中古盤のお値段も安くてビックリします。

この辺のアルバムを聴かないことは何だかもったいないような気がしてしまい、最近ターンテーブルに載せています。やはり若い頃に好きだった音楽は、たまに聴くといろいろ記憶が蘇ってきて楽しかったりもします。ブルースの欠片もなし、難しいこともなし、シンプルなロックンロールの魅力って何だろうなんて考えながら聴く時間の愛おしさよ…。大ヒットを持っているアーティストの輝きはまだないんですけど、やはり原石的な輝きはあるんですよね。何はともあれ、メチャクチャ上手い人たちです。

せっかく他所ではかからないような曲をかけるラジオ番組をやっているんだから、こういうのこそかけるべきなのかとも思うわけです。…ウケ、悪そうですけどね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?