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清澄白河カフェのキッチンから見る風景alt009 : ステレオタイプ+α

元来ひねくれ者なので、ステレオタイプな目線を向けられるとついついいたずらしたくなってしまいます。還暦を迎えたカフェ・オーナーと言われてイメージする人物像と自分とのギャップ…、それなりに大きいと思いますよ。そもそも飲食店経営だって好きでやっているわけではないし、もっと楽をしたければ退職しなければよかっただけの話で、あえて面倒な現状に踏み込んだのはいろいろやりたいこともあったからです。

それは傍から見て理解できるものではないし、自分でも整理がついているわけではなく、すべてをコントロールできているわけでもありませんから、裏でいろいろ画策もしていれば、努力もしています。60歳にしていまだにインプット量超過気味です。「そういえばコレやっておきたいな」と思い立ってやることもあるわけで、常に時間が足りない原因はその辺にもありそうです。

60歳といえば、そろそろあちこちにガタが出てきて不具合だらけの様相です。朝目が覚めてから手指が動くようになるまでは数分必要ですし、スムーズに動くようになるのはさらに一時間後です。脳みそがスタンバイできていても、直ぐに文章を書き始められるわけではありません。

では体調の不安が動きを鈍らせているかというと、そうでもないからこの人間は問題なんですけどね。60歳で新しいことを始めるとして不安がないことはあり得ないと思いますが、如何せん残り僅かになってきた人生を楽しむために早期退職して、自分の人生を見つめ直しているわけです。問題は自分の感性が錆びてきてないかという不安でしょうかね。

1970年代80年代のポップな音楽をアナログで聴くという実に後ろ向きな趣味に没頭しているわけですが、その裏で新しくて楽しいものも探しています。YouTubeでBoiler Roomの動画を検索すれば、世界中のエレクトロニカな若手を知ることもでき、重ねて「acoustic live」と検索すれば、DJセットではないものに絞り込めます。若手の上手い連中が引っ掛かってきます。

最近は中東あたりのストリート・ミュージシャンまで引っ掛けてくるのでびっくりします。今朝はそんな中東のおじさんがピンク・フロイドの「シャイン・オン・ユー・クレイジー・ダイヤモンド」を演奏している動画がでてきて、「これじゃ意味ねえな」と少々メゲております。

新しいものを聴いてなければいけないかと言われると、決してそうではないのですが、ただ単に古いものだけを聴いている場合と比べると、聴き方が多面的になり面白いです。60歳に求められるのは、純粋に最新鋭の評論ではありません。むしろ、旧態然としたステレオタイプの評論で80%の安心を提供しておいて、鋭く突っ込む一撃的な新解釈だったり、現在の社会情勢を反映させた時代性だったりと考えます。そうすることで、他にはないプラス20%以上の魅力を演出すると…。おそらくそこにしか付加価値はあり得ないと思うんです。加えて、そのバランス取りの妙でしょうかね。

たかだか、音楽好きと語らう音楽談義ですらこういう考え方をするもので、自分の進べき方向には安易な道はなさそうです。スムーズに走れる高速道路のような人生なんぞ求めていないということですね。高速道路で行って帰ってというドライヴなんてつまらんではないですか?



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